コンシューマーエレクトロニクス関連の見本市では世界最大規模の「CES 2018」が、2018年1月9日からラスベガスで開催される。CES 2018で注目すべきトレンドを4つ紹介する。
米国ラスベガスで2018年1月9〜12日に、「CES 2018」が開催される。注目を集めるトピックとしては、人工知能(AI)や、前回と同様にIoT(モノのインターネット)の他、自動運転車、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)、ヘルスケアおよびフィットネス機器などが挙げられる。それほど驚くような内容ではなさそうだ。実際に、前回のCES 2017とほぼ同じではないだろうか。
しかしCES 2018は、AIやコネクティビティ、ソフトウェアプラットフォームなどが既に普及しているという点で、CES 2017とは異なる。
CES 2018では、「あらゆる技術がつながるようになると、消費者たちの現実世界に対する認識の仕方は、どのように変化するのだろうか」という広範なテーマが掲げられている。
Accentureの北米ハイテク業界慣行部門を率いるGregory Roberts氏は、「身体的体験とデジタル体験の融合」について、「一部のコネクテッドデバイスを統合することにより、消費者たちが生活している、物理的世界と拡張世界という2つの異なる世界の境界線が、曖昧になってきている」と語っている。
IoTデバイスによって収集されたデータや、AIエンジンによって処理された情報は、同一プラットフォーム上のさまざまなデバイス間で、もっと簡単に共有できるようになる。
技術レポーターたちはこれまで、最新の民生機器について、その長所や、どのメーカーの製品がより優れているのかを議論し、スマートフォンやデジタル音声アシスタント、VR/ARヘッドセット、4K/8K UHDTV、フィットネスバンドなど、膨大な種類の製品を取り上げてきたが、それも遠い昔のことになってしまった。
それに代わりCES 2018では、Amazonの「Alexa」などのソフトウェアプラットフォーム上で構築されたAI対応コネクテッドデバイスによってもたらされる、意図的または意図せぬ影響に対し、人間の判断能力が問われることになるだろう。
Roberts氏は、「AIの幅広い普及と統合の深化については、インターネットの出現になぞらえることができる。インターネットは当初、多くの人々にとって、興味のあることについて調べるための手段だったが、やがて広く普及し、今では人々の生活に深く統合されている。AIも、このような変曲点を迎えようとしているのではないか」と述べている。
今日の起床時間や、昨晩の睡眠時間、今日行く場所、心拍数、今日の歩数などを、あたかも重大な情報であるかのように全てアップロードして共有し、分析することが可能だ。こうした情報の共有を許可されているコネクテッドデバイスは、今日中に実行すべき運動量に関する提案など、実用的なアドバイスをわざわざスマートフォンに送信してくれる。その上、自宅のリビングで一人、こうした努力の疲れを取ろうとしている時に、突然テレビに口うるさいメッセージが表示されるのだ。
自分の健康を管理するためには役立つのかもしれないが、これではかえってやる気をなくすのではないだろうか。自分に関する大量のデータを追跡するよう、誰かに依頼されたのだろうか。まるで、また母親と暮らすことになったかのようだ。
こう感じるのは、筆者だけかもしれない。筆者の友人の多くは、バーチャルコーチのように、力強いメッセージで応援してくれたり、努力をサポートしてくれるエクササイズアプリを、とても気に入っているようだ。
その一方で、IoTコネクテッドデバイスによって、どれくらいの量の個人情報がクラウドに送信されるのか、またこうしたデータが、他のデータベースとの間でどのように共有されるのか、といった課題が残る。これについては、誰もが不安に思うはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.