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「有線技術なくして5Gは実現できない」 ノキア固定ネットワークの重要性を強調(2/2 ページ)

» 2018年01月10日 10時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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“実装のしやすさ”をかなえる

 Vetter氏は、将来のネットワークでは、通信速度や遅延、容量の向上はもちろんだが、同時に実装や導入のしやすさも重要になると述べる。「ネットワークの実装に何年もかかるのではなく、素早く導入できるようにすることが大切だ」(同氏)

 簡単にネットワークを実装する方法の1つとしてVetter氏が紹介したのが、「Wireless PON」だ。壁に穴を開けなくても簡単に固定ネットワークを設置できるシステムで、ノキアはGTFF 2017でコンセプトモデルを展示した。強力なマグネットを搭載した2台のPONユニットを、窓ガラスに挟むように設置するだけでWi-Fi通信が行えるようになるという技術である。

「Wireless PON」のコンセプトモデル。2台のPONユニットで窓ガラスを挟んでいる(クリックで拡大)

 窓ガラスを挟み、1台は屋外に、1台は屋内に設置される。屋外のユニットは、免許不要の60GHz帯(IEEE 802.11ad)を使い、電柱に設置されているAP(WiGig対応のアクセスポイント)と通信する。屋内のユニットは、部屋の中にあるWi-Fiルーターと接続する。これら2台のユニット間で通信することにより、Wi-Fi通信ができるようになる仕組みだという。さらに、屋内から屋外へのユニットには、ワイヤレス給電ができるようになっている。

 ただし、同システムは、あくまでベル研究所が開発を進めているコンセプトモデルで、ノキアは「実用化には少し時間がかかる」とコメントしている。

 ノキアが2018年に商用化を検討しているシステムは、同様に2台のユニットを使うが、ユニット間の接続はLANケーブルで行う。このLANケーブルはPoE(Power over Ethernet)に対応していて、屋内のPoEインジェクターから屋外ユニットに給電する。屋内ユニットから屋外ユニットへの配線は、LANケーブルを窓枠から屋外に出すか、場合によって壁に穴を開ける工事も行うという。

ベル研究所のPeter Vetter氏

 Vetter氏の研究チームは、「スマートネットワークファブリック」の技術も開発している。Vetter氏は、「ネットワーク自身がデータトラフィックや容量のニーズを予測して、中央制御局においてネットワークを自動的に再構築(リコンフィギュレーション)する技術だ。これによって、より高速な通信を維持できるようになる」と説明する。「例えばコンサートやスポーツの試合で、競技場に何千人もの人が向かっているとする。ネットワークは“多数の人が同じ場所に向かっている”と察知し、ネットワークをリルートして競技場近辺の通信容量を増やす。そんなイメージだ」(同氏)

 Vetter氏は「ユーザーはますます高速なネットワークサービスを望んでいる。それに応えるためには1つの技術では不可能なので、いくつかのテクノロジーを組み合わせることが重要だ」と強調した。

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