日置電機は「第10回 国際カーエレクトロニクス技術展」で、最新のメモリハイコーダ「MR6000」を展示した。200Mサンプル/秒(MS/s)と高速な絶縁測定が行える他、1MS/sで取得した32チャンネル分のデータを1時間、測定しながらリアルタイムで保存できる機能なども備えている。
日置電機は「第10回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)で、最新のメモリハイコーダ「MR6000」を展示した。メモリハイコーダは、オシロスコープの機能とペンレコーダー(ロガー)の機能を統合したもので、主に家電や自動車、建設機器といった分野の研究開発の用途に向ける。
MR6000の特長の1つは、200Mサンプル/秒(MS/s)と高速な絶縁測定が行える点だ。日置電機によれば、メモリハイコーダーのユーザーの場合、それほど高速なサンプリング速度は求めていない。ただ、インバーターなど周波数が高くなってきているものもあるので、数百メガサンプル/秒のサンプリング速度が必要だという声も聞かれるという。
もう1つの特長が、ペンレコーダーとしての性能だ。MR6000には、測定しながら保存する「リアルタイム保存」と、測定後に自動または手動でデータを保存する方法の2つがある。自動/手動保存は、これまでは非常に長い時間がかかっていた。データ量が大きいということもあるが、「保存に一晩かかる」と冗談で言われることもあったほどだという。
MR6000では、内蔵メモリを1Gワードに固定していることに加え、FPGAによるメモリの制御方法を改善し、SATAやUSB3.0といった最新のインタフェースを採用することで、自動/手動保存にかかる時間を従来比で10倍に高速化したという。リアルタイム保存については、256GバイトのSSDに保存する場合、1MS/sで取得した32チャンネル分のデータを1時間、連続記録できる。これは従来比で32倍のリアルタイム保存性能となっている。
12.1型のタッチパネル(静電容量方式)を搭載し、操作性も上げた。タッチパネルは、オシロスコープなどにも搭載され始めているが、MR6000でも「外観のデザインにこだわった」(日置電機)という。
MR6000は、見たい波形を簡単に検索できる新機能「メモリハイコンシェルジュ」も搭載している。基本波形を登録しておくと、その基本波形とは形が異なる波形(異常波形)を自動で検索する。トリガーを事前に設定していなくても、測定した全てのデータに対してあらためてトリガーをかけられるので、どのような異常が発生するか分からない測定の際も便利だ。
日置電機は「開発現場での作業効率を、いかに上げることができるかを重視した。メモリハイコンシェルジュのような波形検索機能は、今後さらに磨きをかけていきたい」と述べている。
MR6000の本体価格は125万円。電圧、歪み、周波数、ロジック信号など、測定の対象に合わせてオプション(別売り)のユニットを選ぶ。ユニットは全部で12種類あり、そのうちの10種類は従来機種の「MR8847A」と共通で使える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.