「ISSCC 2018」最終日の技術講演から、セッション23〜25のハイライトをお届けする。周波数が300GHzと極めて高い発振器の他、GaNデバイスを駆動する電源回路技術、5GHzのクロックを発生する回路などが紹介される。
2018年(今年)2月に米国サンフランシスコで開催予定の国際学会「ISSCC 2018」の概要をシリーズでお届けしている。前回は、メインイベントである技術講演セッションの最終日午前(現地時間で2月14日水曜日午前8時30分開始予定)から、セッション21(機能と用途を拡張したシリコン)とセッション22(GHz級のデータ変換器)のハイライトをお届けした。今回は、同じ最終日午前のハイライトを続けてご紹介する。
繰り返しになるが、最終日の午前にはセッション18〜セッション25の8本のセッションが予定されている。その中でセッション20〜セッション25の5本はハーフセッションである。全体としては5本のセッションが同時並行で進行する。
セッション名は番号順に、「適応型デジタル電源」(セッション18)、「センサーとインタフェース」(セッション19)、「フラッシュメモリ」(セッション20)、「機能と用途を拡張したシリコン」(セッション21)、「GHz級のデータ変換器」(セッション22)、「局所発振器」(セッション23)、「窒化ガリウム用のドライバとコンバーター」(セッション24)、「高速リンク向けのクロック発生」(セッション25)となっている。今回はセッション23からセッション25までのハイライトをお届けする。
セッション23の「局所発振器(ローカルオシレーター)」ではまず、マルチバンドの5G(第5世代移動通信)携帯電話システムに向けた局所発振器の研究成果が続出する。28GHz〜44GHzのミリ波周波数を対象とする。発表を予定しているのは、韓国のUlsan National Institute of Science and Technologyと韓国FCIの共同研究チーム(講演番号23.1)、イタリアのUniversity of Pavia(講演番号23.2)、中国のUniversity of Electronic Science and Technology of China(講演番号23.3)である。
続いてUniversity of MichiganとCornell University、サウジアラビアのKing Abdulaziz City for Science and Technology、フランスのSTMicroelectronicsによる共同研究グループが、周波数が300GHzと極めて高い発振器を発表する(講演番号23.4)。発振周波数の範囲は301.7GHz〜331.8GHz、ピーク出力は−13.9dBmである。フィードバックループによって周波数を安定化した。PLLと外付け水晶発振子はいずれも使っていない。製造技術はバイポーラCMOSだ。
それから中国のUniversity of Macau、マレーシアのUniversity of Malaya、ポルトガルのInstituto Superior Tecnico/University of Lisboaによる共同研究グループが、位相雑音が低い4GHzの逆F級CMOS VCO(電圧制御発振器)を報告する(講演番号23.5)。雑音エネルギーが周波数の2乗に反比例および周波数の3乗に反比例する領域における位相雑音を低減した。性能指数(FoM)は−196.2dBc/Hzである。
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