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三菱電機、低消費電力や低コストをAI技術で実現IoTやAI関連の研究開発を強化(1/3 ページ)

「IoT」や「AI」「5G」。今後の事業戦略に欠かせないキーワードである。三菱電機はこれらの領域にフォーカスした研究開発を強化する。

» 2018年02月16日 11時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

AIによる自動チューニング、増幅器の利得が2倍に

 三菱電機は、2018年2月14日に開催した研究開発成果の披露会において、20件の成果を紹介した。この中から、AI(人工知能)関連技術と5G(第5世代移動通信)に向けた技術について、3件の成果を紹介する。

 1つ目は、「AIを用いたインテリジェント無線通信技術」である。IoT(モノのインターネット)関連機器において、通信モジュールの消費電力節減と小型化を可能とした。無線モジュールは一般的に、Wi-Fiや4Gなど通信方式に応じたデジタル信号処理部やアナログ回路部、増幅器などで構成される。今回は、増幅器の特性を最適化することで電力消費を低減した。

AIを用いたインテリジェント無線通信技術の概要 出典:三菱電機

 新たに開発したのは、独自のAI技術「Maisart(マイサート)」を用いて入力信号と動作電圧の制御を自動でチューニングする技術である。具体的には、無線モジュールからの出力電力や出力電流、出力波形を測定。その結果を基に機械学習を行い、デジタル信号処理部への入力信号や増幅器に印加するゲートバイアス電圧の最適値を求める。

AIを用いた最適自動チューニングのイメージ (クリックで拡大) 出典:三菱電機

 AIによる自動チューニングについては、入力範囲の最大値を決めて100パターンを用意し、約10分間繰り返し行った。これで得られた最適値を用いて動作させたところ、増幅器の利得は15dB、動作効率は55%となった。AIを用いない場合に比べて利得は2倍に、動作効率は20ポイントも改善されたという。

 小型化に向けては、これまで分かれていたデジタル信号処理部とアナログ回路部を1つのデジタル回路に集積した。この信号処理部は動作周波数や通信方式をソフトウェア制御で再構成することができる。1つのデジタル回路で同時に最大3種類まで対応できるという。試作品は最大周波数3.8GHzまで対応しており、1台で5Gを含め複数の通信方式に対応することが可能となる。通信機器の小型化に加え、グローバル化にも容易に対応できる。

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