2つ目は、「コンパクトなハードウェアAI技術」である。同社は推論の精度を維持したままで、演算量を従来の10分の1に削減することができるコンパクトな機械学習アルゴリズムを2016年に発表している。この方式を用いて画像認識などを行う場合は、演算量が少ないため使用するメモリ容量も小さくできる。今回はこのアルゴリズムをさらに進化させ、これまでの組み込みCPUに加えて、比較的小規模なFPGAにも実装できるようにした。
会場には2台の評価ボードを用意。ボードに実装されたFPGAベースSoCには、コンパクトAIまたは従来のAIがそれぞれ搭載されており、高速道路で走行中に撮影したHD映像から、学習済みの113種の道路標識を認識し、その結果を表示するデモを行った。
コンパクトAIを搭載したFPGAは、毎秒60フレームの処理を実現した。これに対し、従来のAIを搭載したFPGAは、毎秒6フレーム程度の処理性能にとどまった。コンパクトAIを用いることで、推論精度を維持しつつリアルタイム性を大幅に向上することができる。
従来と同等の処理速度で済む用途には、さらに小規模なFPGAを利用することもでき、部材コストの低減や消費電力の節減が可能となる。この結果、コストの問題などでAI技術を搭載することができなかった家電製品や昇降機といった用途にも、適用範囲を拡大することができるとみている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.