研究グループは、穴の大きさや有無など、条件を変えて試作したいくつかのニッケルモリブデン多孔質体を電極(陰極)として用い、硫酸性水溶液中で水素発生試験を行った。この結果、還元電流値が多いほど水素イオンは水素分子に変換された。また、グラフェンで保護していないニッケルモリブデン電極と、ナノサイズの穴が開いたグラフェン/ニッケルモリブデン電極は、白金/炭素(白金10wt%)よりも還元電流値が大きくなり、水素発生能力に優れていることが分かった。
電源のオンオフに相当する試験も行った。グラフェンで保護していないニッケルモリブデン電極は、オンオフを1000回繰り返したところ、還元電流値はほぼゼロに減少し、電極が溶けた。これに対して、ナノサイズの穴を開けたグラフェン/ニッケルモリブデン電極と、マイクロサイズの穴を開けたグラフェン/ニッケルモリブデン電極も、還元電流値は減少したが、ナノサイズの穴が開いたグラフェン/ニッケルモリブデン電極は、オンオフ試験を1000回行った後でも、最大68%の性能値を維持していることが分かった。マイクロサイズの穴が開いた電極は溶出が激しく溶解したという。
これらの結果から、ナノサイズの穴が開いたグラフェンで卑金属表面を保護すれば、電極としての寿命と性能を両立できることが明らかとなった。
研究グループによれば、今回の研究成果は水素発生電極に加え、固体触媒や燃料電池用電極、スーパーキャパシター、蓄電池といったエネルギー関連材料にも、広く応用できるとみている。
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