理化学研究所(理研)と東レは2018年4月17日、高い耐熱性と変換効率を兼ね備えた超薄型有機太陽電池の開発に成功したと発表した。e-テキスタイルへの応用や、車載やウェアラブル機器の電源として活用が期待できるという。
理化学研究所(理研)と東レは2018年4月17日、高い耐熱性と変換効率を兼ね備え、衣服などに直接貼り付けることができる超薄型有機太陽電池の開発に成功したと発表した。e-テキスタイルへの応用や、車載やウェアラブル機器の電源として活用が期待できるという。
柔軟性が高く低コストな有機太陽電池は、ウェアラブル機器電源の次なる候補として大きな注目を集めている。これまで理研などは、伸縮性と耐水性を両立した「洗濯が可能な超薄型有機太陽電池」を発表しているが、変換効率と耐熱性の両立は難しいとされ、高温環境での駆動や熱加工プロセスを有する製品への適用に課題が残っていた。
共同研究グループは今回、基板から封止膜までの膜厚が3μmという薄さでありつつも、変換効率と耐熱性、大気安定性を兼ね備えた有機太陽電池の開発に成功した。同電池は変換効率が高く、100℃の加熱でも素子劣化が非常に小さいという耐熱性を併せ持つことが特長だ。
この特長は、新しい半導体ポリマー「PBDTTT-OFT」を開発したことで実現した。PBDTTT-OFTは、従来の有機太陽電池で広く用いられてきた「PBDTTT-EFT」と似た構造を持つが、PBDTTT-EFTにはない直線状の側鎖を有する。この構造により、高い結晶性を持つ膜が形成でき加熱による導電性の低下が避けられるという。
また、基板材料と封止膜にも新たな工夫を加えた。従来より用いられていたパリレンから、表面平たん性と耐熱性に優れた透明ポリイミドに基板材を変更することで変換効率と耐熱性が向上。撥液性とガスバリア性に優れた2種類のポリマー層からなる封止膜構造を採用したことで、大気安定性も改善している。
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