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Uberの事故を「最初で最後の悲劇」にするために“何を”シミュレーションするか(1/2 ページ)

2018年3月に発生したUberの自動運転車による死亡事故は、多くの物議を醸している。これまで以上にシミュレーションが重要になってくると考えられるが、より大切なのは“何を”シミュレーションするのか、だろう。

» 2018年04月23日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

Uberの事故を「最初で最後の悲劇」にする

 Uberの自動運転車が2018年3月に歩行者に接触して死亡させる事故を起こしたことを受け、筆者は、「自動運転開発でシミュレーションの重要性が増す?」という記事を書き、LinkedInに投稿した。QualcommのAI(人工知能)研究事業開発部門の責任者を務めるRick Calle氏は、この記事に対し、以下のような疑問を提示している。

 「どうすれば、Uberの事故を“最初で最後の悲劇”にすることができるだろうか。Uberもシミュレーションを行っていたはずだが、センサーの欠陥や、ライダーのサンプリングが少なかったことによる影響、予測不可能な事象などに関するシナリオを、全てシミュレーションすることはできるのだろうか」

 Calle氏のこの質問は、「自動運転車の試験は、決して簡単なことではない」という非常に難しい問題を提示している。ロボットカーがただ走行できるだけでなく、安全に機能するということを検証するには、これまでに前例がないほどの難しい技術が求められる。テストの担当者は、何についてシミュレーションを行うのかを判断するだけでなく、シミュレーションにおいて高品質のセンサーデータを使用する必要もある。さらに、テスト計画を作成することにより、自動車メーカー向けに安全性の高い性能測定基準を提供できるようにしなければならない。

 ここで、シミュレーション/テスト方法に関する詳細へと進む前に、現在広く知られていながらも未熟な状態にある、「自律性」という重要な点について認識する必要がある。

人間のドライバーも事故の一因

 米カーネギーメロン大学(CMU:Carnegie Mellon University)のPhilip Koopman教授は、最近投稿したブログ記事の中で、「今回Uberが、Elaine Herzberg氏を死亡させる事故を起こした原因は、自動運転車だけにあるというわけではない。自動運転車が、まだ開発途中のために、性能が実証されていない状態の試験用の自動車だったことや、技術上の欠陥が危害を加えることのないように乗車していたはずだった、安全性を確保するためのドライバーなども、一因として挙げられる」と述べている。

 技術メーカーおよびメディア各社は現在、完全な自動運転車の実現が間近に迫っていることを熱心に宣伝しているが、自律性に関して無数に存在する未知の点については、これまで18カ月以上もの間、触れたがらなかったという印象が否めない。

 この「未知の点」とは、自動運転車によって提示される特殊な問題点のことを意味する。技術業界は、ようやく対応を開始し、対応戦略の考案にも着手している。

 EE Timesは今回、アルゴリズム開発企業や、試験の専門家、組み込みシステムソフトウェアのエンジニアに至るまで、さまざまな業界観測筋に対し、安全な自動運転車を開発する上で、どのような問題が未解決のまま残っているのかを質問した。多様な回答が得られたが、いずれも自律性に関する多くの問題点を認識しており、技術および業界の両方で答えを導き出す必要があると考えているようだ。

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