Googleは、米国カリフォルニア州サンノゼで開催した開発者向け年次ベント「Google I/O」(2018年5月8〜10日)で、AI(人工知能)向けアクセラレータチップ「Tensor Processing Unit(TPU)」の新世代「TPU 3.0」を発表した。
Googleは、米国カリフォルニア州サンノゼで開催した開発者向け年次ベント「Google I/O」(2018年5月8〜10日)で、ディープラーニングの利用を拡大する計画について講演し、同計画をけん引する製品としてAI(人工知能)向けアクセラレータチップ「Tensor Processing Unit(TPU)」の新世代「TPU 3.0」を発表した。だが、同イベントで最も驚くべき点は、Google同様Alphabet傘下で、自動運転開発を手掛けるWaymoが、「2018年後半に米国アリゾナ州フェニックスで自動運転車による配車サービスを開始する予定だ」と語ったことだろう。
Googleの最高経営責任者(CEO)を務めるSundar Pichai氏は基調講演の中で、「機械学習とハイテク産業全般が及ぼす悪影響を懸念する声が高まっている」と語った。同氏は、あらゆる場面でプラスの影響を及ぼすことを目指してGoogleが掲げる新たなイニシアチブと具体的な事例について説明した。
Pichai氏は、「テクノロジーはプラスの力になる可能性があるが、私たちはテクノロジーが生み出す革新をただ無邪気に喜んでいるだけではいけない。技術の進歩による影響とその役割については、非常に現実的な疑問が提起されている。われわれは、進むべき道を慎重に調整しなければならない」と語った。
Googleは、機械学習の新たな用途として次のような製品やアプリケーションを紹介した。
WaymoのCEO(最高経営責任者)を務めるJohn Krafcik氏は、「これは始まりにすぎない。当社は配車サービスや物流、個人用自動車におけるAIの活用をさらに推進していく。当社の技術はこれら全ての産業を活性化できるものであり、多くの企業と提携していきたいと考えている」と述べている。
Krafcik氏によると、フェニックスでは複数のテストユーザーが、しばらく前からWaymoの自動運転車の走行テストを行ってきたという。テストユーザーは現在まで、公道で600万マイル(約965万km)以上、シミュレーションで50億マイル(約80億km)以上を運転している。
Waymoは2013年にGoogleの中枢部である機械学習部門と提携し、ディープラーニングを適用して、歩行者を検出するエラーを100分の1に低減する取り組みを進めてきた。Googleの機械学習向けオープンフレームワーク「TensorFlow」とTPUを使用することで、自動運転車を従来よりも15倍速くトレーニングできるようになった他、雪によって発生するセンサーノイズを軽減するモデルの開発にも成功したという。
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