米国がZTEに対し、向こう7年間にわたり米国企業の製品を使えないという厳しい措置を決断した。その影響は既に出始めている。
中国深センの世界的な通信機器、通信サービスメーカーZTEが2018年4月、向こう7年間にわたり米国企業の製品を使うことも、米国に販売することもできないという、極めて厳しい処置を米国商務省から受けた。2017年にイラン、北朝鮮に対する輸出規制に反したとして問題提起され(これについては、ZTEは2017年に事実を認めている)、解決に向けてZTEは対応を行ってきた。それにもかかわらず、米国は冒頭のような厳しい判断に至っている(なお、トランプ米大統領は2018年5月13日(米国時間)、その制裁緩和を示唆するコメントをツイッターに掲載している)。
米中貿易摩擦が深刻化する中、お互いが発展できる解決を望みたい。ZTEは真に世界的な通信機器メーカーとして、中国を代表する企業の1つである。1985年の設立から33年もの歴史を持ち、2004年に開催されたアテネオリンピックでは、ADSLの広帯域アクセスのプロジェクトを受け持ったり、2009年にはエチオピアの携帯ネットワーク網を構築したりと、インフラ事業者としても大きな実績を重ねている。
スマートフォンのような端末も数多くの製品をリリースしており、世界160カ国を超える地域で販売されている。米国ではトップ5にランクインし、ロシアなどでは2位と、ZTEのスマートフォンは人気がある。北朝鮮でもZTEのスマートフォンやフィーチャーフォンが販売されていて、トップシェアだという。
日本でも各キャリアから、さまざまなモデルが販売されている。NTTドコモ、au、ソフトバンクの他、イオンモバイル、楽天モバイル、LINEモバイルなどもZTEの端末を取り扱っている。ZTEは、われわれ日本人にとっても、身近な中国メーカーなのだ。
5G(第5世代移動通信)でも中国メーカーは率先した取り組みを行っているが、ZTEも例外ではない。ZTEは、日本ではソフトバンクと協業し、5Gの実証実験を進めている。
こうした状況の中で、上記のような制裁が発動されたわけだ。ZTEにとってマイナスのニュースが毎日のように飛び交っており、今後も本件は、継続的な観察が必要だろう。
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