National Instruments(NI)は、2018年5月21〜24日にかけてユーザー向け年次イベント「NIWeek」を米国テキサス州オースチンで開催中だ。ユーザー事例の紹介ではマツダが登壇し、NIの計測プラットフォームを利用したテストシステムで、1個のECUの評価にかかる工数を最大90%削減したと話した。
National Instruments(NI)は、2018年5月21〜24日(米国時間)にかけてユーザー向け年次イベント「NIWeek」を米国テキサス州オースチンで開催中だ。
今回のテーマは、「Future Faster」。Faster(より速く)という言葉が指し示すように、いかに開発期間やTime to Marketを短縮するか、コストを削減するかということに重点が置かれた。
開発期間の短縮や、コストの削減を実現する最も効果的な方法の1つが、テストの自動化だ。5月22日午前の基調講演では、ユーザー事例が3つ紹介された。まずは、マツダで統合制御システム開発本部 主席研究員を務める足立智彦氏が登壇。NIのテストプラットフォームを使って電装品の自動評価環境を構築することで、1個のECUの試験に伴う操作や結果の判定において、従来に比べ、工数を約90%削減できたと語った。
急速に電子化が進む自動車では、ADAS(先進運転支援システム)の搭載や自動運転の実現といった背景もあり、ドアミラーやインフォテインメント、空調、照明など、さまざまな種類の電装品が、1つの大きなシステムとして協調して動作するようになってきている。しかも、こうした電装品は、機械系の部品とは異なり、1〜2年で性能が大きく変わるなど非常に進化が速い。
そうなると、追い付かなくなってくるのが、これらの電装品を評価するテストシステムだ。これまでは、(単体の電装品をテストするための)ターンキーのテストソリューションを無理やり接続するような形でテストシステムを構築してきたが、いよいよそれが限界になりつつある。さらに、テスターを購入しても、それを操作する人手が足りないという問題にも直面している。
このままでは、テストシステムの構築が破綻する――。そう考えたマツダは、電装品の評価システムの自動化に、2011年ごろから取り組んできた。まずはベースとなるテストシステムをNIのプラットフォームで構築。テスターのロードマップを作成し、エアコンのオンオフなど電装品の操作を行うロボットや、速度メーターの表示などを自動判定するための画像処理システム、電装品が正しく動作するかを確認するためのノイズシミュレーター、GPSシミュレーター、音声合成システムなどの要素を、段階的にテストシステムに追加していった。それによって、テストシステムの自動化を少しずつ実現していったのである。
足立氏は基調講演で、「(自動化した)テストシステムによって作業負荷が大幅に削減された。1個のECUの評価において、工数を最大90%削減することに成功した」と語った。さらに、自動化したことで、実行できるテストシナリオの数も格段に増加したという。
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