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地図とOTA、自動運転の核心技術を押さえる「HERE」業界スタンダードを狙う(1/2 ページ)

高精度地図データの提供を行うHEREは2018年5月22日、グローバルでの高精度地図提供を目的とした企業間アライアンス「OneMap Alliance」の結成と、自動車に搭載されるソフトウェアのアップデートや機能追加を無線環境で実現するOTA(Over the Air)ソリューション「HERE OTA Connect」を発表した。

» 2018年05月28日 09時30分 公開
[松本貴志EE Times Japan]

 高精度地図データの提供を手掛けるHERE Technologies(以下、HERE)は2018年5月22日、グローバルにおける高精度地図提供を目的とした企業間アライアンス「OneMap Alliance」の結成と、自動車に搭載されるソフトウェアのアップデートや機能追加を無線環境で実現するOTA(Over the Air)ソリューション「HERE OTA Connect」を発表した。

 HEREは1985年に設立され、本社はオランダのアムステルダムにある。54カ国に200のオフィスを有し、グローバルで従業員数は約8000人。同社の親会社は、Audi、BMW、ダイムラーのドイツ自動車メーカー連合となっており、2017年にはパイオニアとも資本業務提携を結んでいる。

発表を行ったMoon J. Lee氏(左)とRalf Herrtwich氏(右)

データフォーマットを統一するOneMap Alliance、地図の質も担保

 自動運転の実現には、センサーフュージョンによる自車位置の精密測位と周辺状況の認識が解決すべき重要な課題となっている。自車位置の測位では、各種センサーから取得されたデータを基に高精度な地図と照合することで、トンネル内などGNSS(全球測位衛星システム)による測位が困難な空間でも安定した走行位置推定が可能となる。

HEREが提供するHD Live Mapの概要(クリックで拡大) 出典:HERE Technologies

 HEREは創業から30年を超え、地図と位置情報の事業領域で強みを示してきた。同社が展開する高精度地図データ「HD Live Map」では、各種センサーを搭載した自動車と地図データを提供するクラウドが接続され、道路の形状や、車線の配置・制限速度、道路沿いの標識や障害物などをリアルタイムに利用、そして現実世界にアップデートがあればデータを更新することができる。

HD Live Mapが提供する「道路モデル」「HDレーン・モデル」「HDローカライズ・モデル」の概要(クリックで拡大) 出典:HERE Technologies

 HD Live Mapは、現時点で北米と欧州を主な対象地域としているが、地図の更新にあたり同社は400台を超えるデータ収集車を所有し、毎日28Tバイトのデータを収集しているという。こういった作業の積み重ねもあり、2017年末には55万5000kmの道路をHD Live Mapでカバーした。

 OneMap Allianceは、企業間アライアンスを組むことでHEREが今まで手薄だった地域をカバーし、グローバルのロケーションデータをHD Live Mapという単一フォーマットで提供できるようにする取り組みだ。同日の発表では、パイオニア子会社のインクリメントPと、中国の地図データ会社であるNavInfo、韓国の通信大手SK Telecomがアライアンスメンバーとして公表され、東アジアで大きな自動車市場を持つ3カ国をHD Live Map対応とする。

 同社車載市場担当シニア・バイスプレジデントのRalf Herrtwich氏は「全世界で自動運転機能を提供したいと考えているOEM(自動車メーカー)は、マーケットに合わせて地図ベンダー、フォーマットを選択する必要があり、開発コストの増加を招いていた。この取り組みにより、OEMの負担を減らすことができる」と語る。

 地図データを収集するベンダーが増えたことによる品質管理の課題は、「クオリティーインデックス」という評価指標を設けることで解決する。これにより、各ベンダー間による地図情報、精度、更新タイミングなどデータ品質のばらつきを抑制し、OEMなどのユーザーはクオリティーインデックスが自分の求めるレベルに達しているか確認できるとする。

 OneMap Allianceは、2020年からの地図データ提供を目指す。同社は2018年末までに、北米、欧州、韓国、シンガポールとアラブ首長国連邦で100万km以上の道路をカバーする予定としている。

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