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光による量子コンピュータ、現行技術で実現へ誤り耐性を従来の100億倍に

北海道大学と京都大学の研究グループは、現在の技術レベルでも光による量子コンピュータを実現できる方法を開発した。量子ビットの誤り耐性を従来の100億倍に高めることで可能とした。

» 2018年05月30日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 北海道大学大学院情報科学研究科の富田章久教授、同博士後期課程の福井浩介氏、京都大学大学院理学研究科の藤井啓祐特定准教授らの研究グループは2018年5月、量子ビットの誤り耐性を従来の100億倍に高めることで、現在の技術レベルでも光による量子コンピュータを実現できる方法を開発したと発表した。

 光を用いて大規模な量子計算を行うには、量子ビットの誤り発生を370兆回の演算当たり1回以下に抑える必要があるという。このため、現行技術でこの課題を解決するのは極めて難しいといわれてきた。

「アナログ量子誤り訂正法」と「量子ビットの配列法」

 研究グループはこれまで、光波の連続的な性質を活用して、量子ビットに発生する誤りの訂正能力を最大化する「アナログ量子誤り訂正法」を開発してきた。これに加えて、誤りの発生を極限まで抑えながら「量子ビットを配列する方法」を新たに開発した。

 今回の研究では、予測された誤り発生確率を参照し、量子もつれ状態が大規模化する中で、誤り確率の高い量子ビットを取り除く手法を提案した。この手法を適用し、誤りに強い大規模な量子もつれ状態が構築できることを理論的に確認した。さらに、アナログ量子誤り訂正法をトポロジカル量子計算に適用し、振幅の精度が通常ノイズの10分の1以下であれば、量子コンピュータを実現できることを理論的に明らかとした。

 開発した2つの方法を組み合わせると、光を用いた量子計算が約1万回の演算当たり1回以下の誤り発生を許容できるようになった。これは、従来方式に比べて約100億倍の誤り耐性を実現したことになる。しかも、今回の技術を適用して得られる許容誤り率であれば、現在の技術レベルでも達成することができ、光を用いた量子コンピュータの実現に大きく近づいたとみている。

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