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リーマンショックも影響? “蔵出しFPGA”の真相を探るこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(25)(1/3 ページ)

前回に続き、2017年発売ながらチップに開発した年を意味する「2009」と刻まれていたIntel製FPGA「Cyclone 10 LP」を取り上げる。さらに多くのCycloneシリーズ製品のチップを観察し、2009年に開発されたチップであるという確証を探しつつ、なぜ2017年の発売に至ったのかをあらためて考察していく。

» 2018年05月31日 09時30分 公開

2009年と刻まれた2017年発売のFPGA「Cyclone 10 LP」

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 前回の本コラムで、Intelが2017年に発売したFPGA「Cyclone 10 LP」のシリコン上にマスクパターンを用いメタル層を焼き付け記載されている西暦が2009年であることを伝えた。前回記事の執筆時点では数種のCyclone 10 LP、「Cyclone IV」だけの観察だった。その後、より正確な情報を得るために、筆者が代表を務めさまざまな半導体デバイスの解析を行っているテカナリエでは追加で10種ほどのCycloneチップを購入し、チップ開封を行った。2017年に発売されたCyclone 10 LPと2009年発売のCyclone IVの関係性をより明確にしようという意図だ。

 表1は、2009年に発売されたCyclone IV Eシリーズの型番の若いチップを開封し、顕微鏡で観察したチップ上の西暦刻印やシリコン型名刻印の様子である。同シリーズは型番の数字が大きくなるほど、ロジックエレメント数、メモリ容量、掛け算器の個数などFPGAとしてのチップ規模が大きくなる。今回、分解したチップは型番数字の小さい方だ。Cyclone IV Eシリーズで最も規模が小さいものは、6000ロジックエレメント品であり、最も規模の大きいものは11万4000ロジックエレメントだ。同じシリーズでも20倍ほどの規模の差がある構成になっている。

表1:Intel製FPGA「Cyclone IV」(3種)の型番/パッケージとチップの様子 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 現状、テカナリエでは、全てのCyclone IV Eシリーズの確認までには至っておらず、チップを買い足し、さらに情報を積み重ねていく予定だ。そのため解析は途上なのだが、これまでに得られた情報を紹介していこう。

 表1のように、2009年に発売になったCyclone IV Eシリーズは、2009年という刻印がチップ端部にあり、開発時期と発売時期が一致したものであると確認できた。ただしEシリーズではないが、Cyclone IVのGXシリーズ(Eシリーズに通信用のトランシーバが追加されているFPGA)には2010年の西暦が刻まれているものもあった。いずれにしてもCyclone IVは2009〜2010年に開発、発売された「おおよそ8〜9年前のチップである」といえる。

チップに小さく刻まれるさまざまな情報

 チップには、多くの文字情報が搭載されている。文字情報は決して肉眼では見えない、ぜいぜい数十マイクロの大きさで、多くはチップの四隅やチップ外周部の隙間に書き込まれている。パッケージに刻まれる製品型名と、チップ上に搭載されるシリコン型名は、必ずしも一致していない(一致しているメーカーも多いが大半はシリコン型名には社内の管理ネーミングやバージョン数字、プロジェクトコードネームなどが用いられている)

 Cyclone IVにはIntelに買収される以前のAlteraという社名とともに、社内での開発コードもしくは管理コードである「Z1432」「Z1435」という文字が入っている。チップの隅に大きく刻まれているチップもあれば、小さくて見落としてしまいそうな文字サイズで刻まれている場合もあった。このZ1432には何らかの意味があるはずだが、意味は製品仕様からは読み取ることはできない。

 さらに今回は紹介していないが、他にもさまざまな数字などの文字がチップには記されている。メーカーによっては、こうした文字だけでなく、シリコンパターンを用いた図形を描いたシリコンアートと呼ばれるものを入れる場合もある(これはいずれ別に取り上げて紹介したい)

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