ハードウェアに関しては、Facebookは現在、機器メーカーが開発したシステムを使用するのではなく、既製のチップを使用して独自の仕様に対応したサーバとスイッチを構築している。複数のメディアが、「Facebookは2018年の春頃から、半導体設計者を新たに採用している」と伝えている。Facebookの広報担当者は、こうした報道に対してはコメントしていないが、2018年9月13日に開催するSystems@Scaleで半導体の開発計画について発表する可能性を示唆している。
Facebookは、システムハードウェアの仕様は、同社が2011年に設立した「Open Compute Project」を通じてオープンソース化してきた。ただし、同社が将来的に半導体設計をオープンソース化する計画であるかどうかは、今のところ不明だ。
より重要な問題は、Facebookと同社のライバル勢がコンピューティング技術の開発を早急に進めるのはどの時点で、その時にどんな壁にぶつかるのかということだ。
先の大統領選挙では、Facebookから流出した個人情報が不正に利用されて投票操作をしたのではないかとする疑惑が浮上している。このように考えている議員は、「これは、政治的に由々しき事態だ」と主張する。また、大手Web企業がユーザーを操作していると訴える議員もいる。彼らは、「ユーザーは自分たちが共有しているあらゆるデータが利用されていることに気付きもせず、政府もこうした状況をほとんど監視していない」と警鐘を鳴らす。
技術面では、Web大手企業は長年にわたり、より高速な銅線あるいは光ファイバーによる通信を推進してきた。高速通信は、データセンター内で、かつてないほど多数のサーバ間を接続すること、そして、データセンター間を接続することの両方において、必要とされているのだ。
ネットワークエンジニアは何年もの間、一般のユーザーが必要とするよりも高速な、Tビット/秒クラスの伝送速度を持つネットワークの実現に尽力してきた。場合によっては、ムーアの法則よりも速い速度での進化が求められているからだ。
業界の動向にかかわらず、分散システムでTビット/秒級のネットワークの早急な実現が求められていることは間違いない。
分散システムの今後は、Parikh氏が述べたように、「素晴らしいと同時に恐ろしい」ものだ。Web大手は、これまでにない速度と規模で巨大な自動システムを構築し、一方で、数十億人のユーザーと何千社もの企業が、Web大手が運営するサービスを消費しているのである。
Systems@Scaleは、新たに建設された本社の周辺にあるFacebookの新しいビルで行われた。この新しいビルは、Facebookの旧本社ビルのあった元Sun Microsystemsの広大な敷地から通りを隔てたところにある。建設中の他の建物に囲まれる中で、駐車監視員が出席者を案内し、ケータリング業者による食事が振る舞われた。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
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