中国は、科学や工学の学士や博士の輩出数で世界をリードしているが、技術文書の引用数ではいまだ米国に後れを取っている。Rhines氏とChappell氏はいずれも、「中国政府は半導体に何百億米ドルも投資しているが、米国政府の投資額はそれには到底及ばない」という率直な意見を述べた。
Rhines氏はステージ上のインタビューにおいてChappell氏に対し、「米国は、中国に匹敵する額を投じることはできない。そうなると、われわれに必要なのは、適切な問題を取り上げて、より賢く取り組むことだ。既にあるものを使って、より多くのことを成し遂げなければならない」と述べた。
AlphabetのチェアマンであるJohn Hennessy氏は、将来のプロセッサを設計する上での問題を簡単に説明し、「とんでもなく恐ろしい話」と述べた。同氏は、DARPAのチップ関連のプロジェクトでキャリアを築いた人物である。
Hennessy氏は「われわれが現在利用している技術は、そもそも非効率なものだったが、時間の経過とともに非効率性は増している」と述べ、デナード・スケーリング(比例縮小則)の終息や、キャッシュメモリなど基本的な要素の物理的限界について解説した。
Hennessy氏は「恐らく、96コアで動作周波数が4.9GHzのプロセッサで、システム全体の消費電力が295W、というシステムを構築できるが、大規模なデータセンターだとしても、除去しなくてはならない大量の熱が発生するだろう。消費電力を200W以下に抑えるのであれば、65コアにとどめるなどの対策が必要になる」と述べた。同氏は、ハードウェア、ソフトウェア、設計ツールのいずれにおいても全く新しいアプローチの必要性を訴え、「われわれ自身の認識や意識も新たにすることが、前進するための唯一の方法だ」と述べた。
Hennessy氏は特に、アプリケーションに特化したプロセッサ、つまりはアクセラレーターの必要性を訴えている。そうなると、アクセラレーターに使用するドメイン固有の言語やアルゴリズムも併せて開発する必要がある。初期に普及しつつある新たなチップとして、グラフィックスやニューラルネットワーク用のアクセラレーターが挙げられる。それらのアクセラレーターは、OpenGL(グラフィックス用)、TensorFlow(深層学習用)、P4(通信用)など専用のプログラミングツールと組み合わせる必要があるとした。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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