Armは、モバイル端末機器やラップトップコンピュータなどクライアント向けCPUのロードマップとパフォーマンス数値を発表した。
Armは2018年8月、モバイル端末機器やラップトップコンピュータなどクライアント向けCPUのロードマップとパフォーマンス数値を発表した。クライアント向けCPUの演算性能は、2020年までの間に毎年15%以上の改善を実施する計画である。
2013年以降にArmが提供してきたCPUコアは、クロックあたりの命令数(IPC)性能が毎年2桁成長しているという。限界説も出てきた「ムーアの法則」に対し、Armはチャレンジを続けているとして、その一例に最新のCPU「Cortex-A76」を挙げる。前世代製品に比べて演算性能を35%向上させたという。これは、2018年内にも生産が始まる7nm SoC(System on Chip)に向けたCPUコアである。モバイル端末機器などでも、より高度で複雑な演算処理を実行することが可能となる。
Cortex-A76の後継製品と位置付けるのが、「Deimos」(開発コード名)である。Arm DynamIQテクノロジーをベースに開発した。7nmプロセスノードに最適化されており、演算性能は現行品に比べて15%以上も高い。2018年中にはパートナーへ提供される予定だ。
続いて2019年には、同じくArm DynamIQテクノロジーを用いたCPU「Hercules」(開発コード名)を投入する。プロセスノードは5nmと7nmに最適化される。5nm品では継続的な演算性能の向上に加えて、消費電力や実装面積も10%程度の効率改善を目指すという。
なお、2018年10月に開催予定のイベント「Arm TechCon」では、2020年までに投入するCPUのロードマップや演算性能データなどについて、より詳細な情報が公開される予定である。
クライアント向けCPUのロードマップでは、5G(第5世代移動通信)への対応が大きなポイントの1つとなっている。Armは、常時起動や常時接続で利用される機器に最適なCPUコアを用意することで、x86アーキテクチャCPUとの差異化を狙う。既に、Armベースの「Qualcomm Snapdragon」SoCを採用したWindows 10システムをASUS、Lenovo、HPが提供しており、Samsungも製品化を発表しているという。
この他、さまざまな世代のArmコアに対応する、「Arm ArtisanフィジカルIPプラットフォーム」と「Arm POP IP」などを顧客に提供する。Arm POP IPは既にラップトップクラスの性能をCortex-A76搭載の7nm SoCでサポートしている。マスマーケット向けx86プロセッサに比べて、ほぼ半分の消費電力で最大3.3GHzのクロック速度を実現できるとした。
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