キーサイト・テクノロジーは、オシロスコープ「Infiniium UXRシリーズ」に、13G〜70GHz帯域の13モデルを追加する。発表済みの80G〜110GHz帯域モデルを含め、必要な時期に帯域を最大110GHzまで拡張することができる。
キーサイト・テクノロジーは2018年9月20日、オシロスコープ「Infiniium UXRシリーズ」に、13G〜70GHz帯域の13モデルを追加すると発表した。UXRシリーズは、既に発表済みの80G〜110GHz帯域モデルを含め、必要な時期に最大110GHzまでの帯域拡張が可能となった。投資効率を高め、将来の高速シリアル通信や光通信の研究開発にも柔軟に対応できるプラットフォームと位置付ける。
UXRシリーズは、独自開発のInP(リン化インジウム)プロセスをベースにしたチップセットを搭載し、極めて広い帯域幅と低いノイズフロアを実現した。ノイズフロア性能は210μVrmsで従来の2分の1となった。A-Dコンバーターは分解能が10ビットで、従来よりも垂直分解能は4倍高い。有効ビット数は最大6.8ビットである。しかも、1台に最大4チャネルを搭載でき、フル帯域で同時測定ができる。チャネル間固有ジッタは35フェムト秒rms未満とした。
UXRシリーズでは、フロントエンドモジュールとして、13G〜33GHz帯域向けと40G〜110GHz帯域向けの2種類を用意した。また、その後段に用いる波形データ処理ボードは、4個の10ビットA-Dコンバーターやデータ処理用カスタムASIC、高速のハイブリッドキューブメモリなどを実装している。このボードは1枚当たり、約400Gバイト/秒のデータ処理能力を持つ。
13G〜33GHz帯域モデルは、2チャンネル当たり波形データ処理ボードを1枚使う。サンプリング速度はチャンネル当たり128Gサンプル/秒である。40G〜110GHz帯域モデルだと、1チャンネル当たり1枚のボードが必要となる。サンプリング速度はチャンネル当たり256Gサンプル/秒となり、高速信号を正確に測定することができる。
13G〜33GHz帯域モデルは、帯域の違いによって5モデルを用意した。全てのモデルが4チャンネル対応で、入力コネクターの芯線は3.5mm径を用いている。40G〜70GHz帯域モデルは2チャンネルと4チャンネルタイプがあり、帯域の違いも含め8モデルを用意した。入力コネクターの芯線は1.85mm径を採用した。
既に発表済みの80G〜110GHz帯域モデルは、2チャンネルと4チャンネルのタイプがあり、帯域の違いも含め6モデルある。入力コネクターの芯線は1.0mm径となっている。
UXRシリーズは、これらフロントエンドモジュールや波形データ処理ボードおよび、入力コネクターなどの変更や追加を行うことができる。このため、周波数帯域やチャンネル数を必要に応じて拡張することが比較的容易だという。
例えば、1Tビットコヒーレント光通信といった最先端の研究はもちろん、600G/400G超ネットワークシステム、4値変調方式のPAM4を用いた通信機器の研究開発、さらにはPCIe(PCI Express) Gen5規格に対応するインタフェース開発など、次世代の技術も含め幅広い用途に対応することが可能である。
価格は、13GHz帯域の4チャンネルモデルが2500万円、110GHz帯域の4チャンネルモデルは2億1000万円となっている。なお、既存のオシロスコープ「S/N/Zシリーズ」で用いていた解析ソフトウェアやプローブなども利用可能である。
UXRシリーズから新たに始めるサービスもある。自己校正モジュールをユーザーに貸し出すことにした。これによって、1年に1回キーサイトの校正センターで行ってきた校正と同じレベルの作業を、ユーザー側で行えるという。これまで1カ月半も要していた校正作業を1日(1チャンネル当たり約2時間)に短縮できるという。
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