第5世代移動通信(5G)の本格導入に向けて動きが加速し、まさに5Gの幕開けを迎えつつある。5Gの現状と、5Gがこれからどのように活用されていくのかを考えていきたい。
第5世代移動通信(5G)の本格導入に向けて動きが加速してきた。以前は導入する必要性に否定的な意見もみられたが、「東京オリンピック・パラリンピックにあわせて実用化」を表明してきた日本に加え、必要性があまり認識されていなかった欧州や中東では思いの外、早く商用化が発表されている。また、ラストワンマイルをミリ波で実現しようとする欧米の取り組みや、それに向けた部分的な導入、実証試験などが活発化しており、2018年の先行導入がまさに5Gの幕開けになりつつある。
5Gの標準化団体である3GPPは、2018年6月にRelease 15を発表した。これでPhase1 の仕様が決まり、各国でプロジェクトが前倒しで動き始めている。また、3GPPの各地のパートナーで検討されていた、次世代コアネットワークを含む5Gの仕様である、Stage 3が2018年同時期に策定を完了、5Gのスタンドアロンとノンスタンドアロンのネットワークがいずれも構築できるようになった。これによって設置する基地局の構成を必要に応じたネットワーク構築の選択肢が広がった。
先行して商用化を目指していた米AT&Tやベライゾンは2018年末から2019年初頭にかけて、カナダは2019年中、ドイツテレコムは2019〜2020年といった導入スケジュールの可能性が高まってきた。また、エストニア、フィンランドでは一部の地域であるものの、商用サービスが始まった。さらに小規模なケースも含めると、中東においても5Gサービスは提供されている。そして、日本においても2020年の東京オリンピックより前にサービスに踏み切る動きが見えてきた。これまでの移動通信技術の世代移行と同様に、標準化の進展が商用サービス化につながっている。
5Gサービスでは通信キャリアが何かと目立つが、通信インフラ機器から見た場合、別の動きも読み取ることができる。
先に上げた欧州や中東の多くの5Gサービスでは中国の通信機器メーカーが関与している。前述の通り、次世代移動通信の仕様策定や機器の開発には何年もの時間がかかり、今や世界トップとなった中国の移動通信インフラメーカーはLTEでその地位にたどり着いた間もなく、5Gインフラの開発にも携わってきた。中国の移動通信キャリアの動向をみると、Sub-6GHz、スタンドアロンネットワークを中心とした比較的LTEに近い技術を導入する可能性が高いとみられている。一方、Huaweiのようなグローバルトップクラスのインフラ機器メーカーは、各地で行われているミリ波帯の実験にも多く関与している。このことから、中国はLTEインフラで世界最大の市場となったことに続き、中国の機器メーカーがインフラにおいても5G以降の世界で先行しようとする動きがうかがえる。
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