小林氏に続いて登壇した、推進協議会運営委員の酒井大雅氏(NTT東日本)は、802.11ahのユースケースを紹介した。酒井氏は「われわれは最後発なので、ユースケースは非常に重要。しっかりしたユースケースを紹介し、802.11ahがいかに社会問題の解決に貢献できるかを明確にする必要がある」と強調する。
酒井氏は、「802.11ahは、“Wi-Fiライク(Wi-Fiのような)”ではなく、Wi-Fiそのもの。デファクトスタンダードのWi-Fiを使えるというのはかなり大きな利点だ。さらに、802.11ahは数メガビット/秒程度のスループットを出せる可能性があり、動画を送信、再生できるようになる。そうなると、これまでのLPWAに加えて、厚みのあるユースエースが出てくると期待している。802.11ahは、IoTビジネス市場を大きく変える可能性がある」と述べる。
NTT東日本に勤務する酒井氏は、特にIoTの用途で使用するネットワークを顧客に提案する際、「Wi-Fiだとオーバースペックだが、現行のLPWAでは、スループットが低く提案しにくい」と感じたことがあったという。「例えばセンシングデータを活用する農業において、(温度、湿度などの)センサーデータから取得できるデータだけでは情報が限られてしまう。鳥獣害対策や防犯対策で画像も送りたいが、Wi-Fiではオーバースペックだと悩む顧客もいる」(酒井氏)
こうしたユースケースにおいて、802.11ahは、Wi-Fiと現行のLPWAのギャップを埋める存在となりそうだ。
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