気になるのはコストと消費電力だ。小林氏はコストについて、「2017年度におけるWi-Fiチップの世界出荷数は30億個だった。802.11ahはWi-Fiファミリーなので、802.11acとセット(マルチモードモジュール)で製造することが考えられる。そうなると、チップの生産規模は非常に大きくなると考えられ、いったん導入が始まればかなり安価にネットワークを構築できるのではないか」との見解を示した。なお、802.11ah対応のデバイスの単価などについては、まだチップができたばかりの段階なので、現時点では明言できないとのことだった。
一方で消費電力については、無線の動作モードによって大きく変動するものの、現行のLPWAに比べると課題はあるという。ただし、もともと802.11ahはIoTをかなり意識して策定された規格なので、バッテリー駆動の機器はターゲットの一つとなっている。今後は、協議会の中で、ユースケースの技術要件を集めてフィードバックし、消費電力の向上を目指していくとした。
記者発表会の場では、802.11ahを使った画像伝送のデモも行われた。米国で販売されているNewracomのデモボードを使用している。デモでは、実際に電波を送信できないので、端末に見立てたボードとAPに見立てたボードのアンテナ間を同軸ケーブルでつなぎ、減衰器を入れて、「1km離れた場所に画像を伝送する」という状況を模擬的に再現している。
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