Intelの創業6年目となる1973年。この年に関してはなぜか年次報告書が掲載されていないので、業績のみを紹介する。それに加えて、クリーンルームにまつわる驚きのエピソードにも触れたい。
Intelの公式文書である「年次報告書(アニュアルレポート)」をベースに、Intelの創業期の活動を創業年(1968年)から1年ずつ記述する連載の第8回である。前々回と前回は、創業5年目である1972年の活動と業績を前後編で解説した。今回は、創業6年目である1973年の主な業績をご紹介する。
実は、1973年については「年次報告書(アニュアルレポート)」が入手できなかった。入手できているのは、「決算書(ファイナンシャルステートメント)」である。Intelの公式Webサイトでは過去の年次報告書を全て掲載しているのだが、1973年だけはなぜか、年次報告書ではなく、決算書のみの掲載となっている。1973年の「決算書(ファイナンシャルステートメント)」の内容は業績の開示にとどまっており、活動内容については記されていない。このため、本稿も主に業績の紹介にとどまっている。どうか、ご容赦されたい。
前年(1972年)に続き、1973年の業績も非常に好調である。総収入は前年(1972年)の2.83倍に伸び、6617万米ドルに達した。内訳は製品売り上げが6559万3000米ドルで、総収入のほとんどを占める。製品売り上げは前年の2.86倍に拡大した。残りは利息収入などで57万7000米ドルとなった。
総経費は4702万1000米ドルである。内訳は販売費が3510万9000米ドル、研究開発費が456万5000米ドル、マーケティング費および一般管理費が743万7000米ドルである。
総収入から総経費を差し引いた営業損益は黒字で、営業利益は1914万9000米ドルとなった。前年に続いて2年連続の営業黒字であり、営業利益の金額は前年の約4.7倍と急増した。最終損益は3年連続の黒字である。最終利益(純利益)は921万4000ドルで、前年の約3.0倍とこれも急激な伸びを示した。
製品売り上げの急激な伸びによって、研究開発費が製品売り上げに占める割合は、前年の半分である7.0%に低下した。研究開発費そのものは前年に比べて33%ほど増加しているので、Intelが研究開発の手を緩めたとは言い難い。売り上げの伸びがあまりにも大きいことによって相対的に研究開発費の比率が下がったというのが実態だろう。
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