今回取り上げるのは「ブラック企業」です。特にここ数年、企業の規模や有名無名に関係なく、“ブラック企業の実態”が報道でも取り上げられていますが、そもそもなぜ「ブラック企業」が存在してしまうのでしょうか。そして、ブラック企業を撲滅することはできるのでしょうか。
「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」として政府が進めようとしている「働き方改革」。しかし、第一線で働く現役世代にとっては、違和感や矛盾、意見が山ほどあるテーマではないでしょうか。今回は、なかなか本音では語りにくいこのテーマを、いつものごとく、計算とシミュレーションを使い倒して検証します。⇒連載バックナンバーはこちらから
私は企業研究員ですので、「発明」は業務の一つです。しかし、企業のエンジニアの発明は、単なる特許要件(特許法29条)を満たすだけでは足りません ―― 企業の利益になる発明でなければ意味がないからです。
「発明」というと、電球、円盤レコード、映写機などをイメージする人が多いと思いますが、企業における「発明」というのは、「特許権でお金を儲ける」よりも、むしろ「技術を先んじて公(おおやけ)にしておいて、他社の権利化(独占)を妨害する」という目的の方が強いです。
特許明細書作成を行う上で、私をいつも助けてくれているのが"仮想敵国の設定"です。
などを頭の中でイメージして、その解決方法を考えるのです。
もちろん、特許明細書では、上記を
と置き換えることで、特許明細書における「発明の課題」の部分については、完成します。
実はこの連載コラムも似たようなアプローチを取っています。具体的には、「社会問題を悪化させる方向に考える」です。
例えば、
を、心の底から、真剣に、徹底的に考えます。
そして、頭の中で実現可能な程度の具体的な計画案にした上で、最後にもう一度、これを引っくり返します。つまり、
―― これらの方法を、阻止する方法を考える
というものです。実際のところ、『阻止する』に至らなくても、この思考実験のプロセスだけでも、問題点がいろいろ見えてくるものなのです。
こんにちは、江端智一です。
今回は、前回に引き続き、政府が主導する「働き方改革」の項目の一つである、「女性・若者人材育成」の、「若者」に関する事項の、特に「ブラック企業」に関して、検討していきたいと思います。
今回は、世の中の99%以上の記事とは逆の方向から「ブラック企業」についての、問題点を炙り出します ―― ブラック企業の言い分、ブラック企業の成立要件、ブラック企業がなくならない理由、そして、最後は「ブラック企業で『起業』する人向けの経営戦略」を、企業の数理モデルを使って考えていきたいと思います。
なぜ今回、私はこんな天邪鬼のアプローチを取ったのか――。
それは、世の中の99%以上の記事が
―― どれもこれも、同じような内容や、ありきたりのアドバイスだけの記事
―― 本気でブラック企業を「潰してやろう」という気合のない腑抜けた記事
ばかりで、「食傷気味」というレベルを超えて、「心底腹を立てている」からです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.