セルラー規格は、約35年間にわたる歴史の中で、3GPP(3rd Generation Partnership Project)が規格策定において先導的な役割を担うようになってから、予測可能な道のりを進んできた。だが、「6G」に関しては、予測が難しい状況にある。
セルラー規格は、約35年間にわたる歴史の中で、3GPP(3rd Generation Partnership Project)が規格策定において先導的な役割を担うようになってから、予測可能な道のりを進んできた。3GPPで1つの世代の規格がドラフト版段階に到達すると、まだ何年も先にならなければ次世代規格の枠組みに関する情報を得られないにもかかわらず、直ちに次世代に関する臆測が飛び交う。こうした臆測により、4G(第4世代移動通信)と5G(第5世代移動通信)が無意味に過剰宣伝される結果となったが、いまだ初期段階にある「6G」に関しては、2020年からの10年間の見通しがあまりに不透明なため、予測することが非常に難しい状況にある。
6Gに関する不確実性は、2つの要素から生じている。まず1つ目は、エンドユーザーが、スマートフォンモデルが絶え間なくアップグレードされることに対して以前ほど熱狂しなくなっていることから、今後は、次世代規格の定義や要件は、携帯端末よりもインフラが主導するようになるとみられることだ。
SDN(Software Defined Network)やNFV(Network Functions Virtualization)などソフトウェアによる機能向上が、基地局やRRH(Remote Radio Head)の開発を加速させていくことになるだろう。
2つ目は、地理的および政治的な要素だ。中国は現在、5G向け基幹ネットワークに膨大な投資を行っていることから、この先10年間、中国のスマートフォンメーカーやサービスプロバイダーのエンジニアたちが、主導権を握る可能性がある。HuaweiやZTEといった中国メーカーのエンジニアたちは、4G/5Gへの関与を加速させたことにより、NB(Narrow Band)-IoTなどセルラーIoTの分野に対しても、有益とまではいかなくても、現実的な貢献をするようになった。しかし中国は、6G向けとして集中管理型の無線ネットワークの実現を想定していることから、アドホックサブネット向けのプロトコルや最適な帯域幅などが、米国や欧州の端末メーカーのエンジニアたちが提案するものとは全く異なる可能性がある。
インフラの面では、ソフトウェア機能が低コスト化していることから、未来のネットワークスイッチや基地局向けとして、SDNやNFVが確実に採用されるとみられる。
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