新興企業Syntiantは、オーディオタスクに向けた低消費電力のニューラルネットワークアクセラレータ「NDP100」と「NDP101」を発表した。PIM(Processor In Memory)を適用したという。NDP100/同101は、200μW未満の低い消費電力でサウンドパターンを検出できるため、幅広い種類のデバイス上でスピーチインタフェースを実現することが可能だ。
新興企業Syntiantは、オーディオタスクに向けた低消費電力のニューラルネットワークアクセラレータ「NDP100」と「NDP101」を発表した。PIM(Processor In Memory)を適用したという。NDP100/同101は、200μW未満の低い消費電力でサウンドパターンを検出できるため、幅広い種類のデバイス上でスピーチインタフェースを実現することが可能だ。
この新型チップは、NOR型セルに接続された数十万個もの積和ユニット(MAC:Multiply Accumulate)アレイを使用するため、アナログドメインでディープラーニングジョブを処理することができる。ライバル企業のMythicも同様に、まずイメージング、ビデオ分野から着手したという。これについてSyntiantは、「当社が2020年に発表を予定している次世代チップは、イメージング、ビデオ分野をターゲットに定めている」と述べている。
両社とも、28nmプロセスへの微細化を進めていく上で、40nmプロセスのNOR型から、ReRAM/MRAMアレイに移行する必要に迫られるだろう。
Syntiantは、「当社の手法は、既存のCPUやDSPに比べて、電力効率を大幅に高めることが可能だ」と主張している。しかし同社は、ベンチマークデータについては全く明らかにしていない。また同社は、補聴器や携帯電話機でデザインウィンを獲得した他、スマートスピーカーやホームオートメーション機器、ノートPCなどでもサンプルチップの試験を行っているという。
Motorola Solutionsの経営幹部は、報道向け発表資料の中で、「NDP100/同101を公共安全システムで採用すれば、エッジの新型アプリケーションを動作させることが可能になる」と称賛している。また、Infineon Technologiesの経営幹部も、「NDP100/同101は、DSPやクラウドに接続せずに、シングルのマイクロフォン『IM69D130』で近距離(near-field)/遠距離(far-field)オーディオにも対応可能であるという点で、素晴らしい品質を実現している」と評価する。
Syntiantは、「NDP100/同101は、キーワード検出やウェイクワード検出、話者識別、オーディオイベントの識別、センサー分析のサポートなどでも採用されるだろう」と述べる。NDP100/同101は、63種類の話し言葉をサポートする他、ガラスの割れる音など、さまざまな種類の音を認識できるようプログラムすることも可能だ。また、ガスセンサーのデータ監視や、パッシブ(受動)型の赤外線データを使用した人の検知なども行える。
また同社は、「TensorFlowフレームワークにユーティリティを統合したことにより、量子化プロセスを自動化したり、ディープラーニングモデルをチップ上に組み込むプロセスを自動化したりすることも可能だ。将来的には、他のフレームワークもサポートしたいと考えている」と述べる。
Syntiantのチーフエグゼクティブを務めるKurt Busch氏は、「SDKを提供することにより、他のプロセッサや、独自モデルのトレーニングを実現するためのトレーニング用開発キット、独自のキーワードを必要とするスピーチトレーニングサービスなどに対して、インターフェースを提供することができる」と述べている。
NDP100は、寸法が1.4×1.8mmで、12ボールのWLBGAに適合するため、スペースに制約のある携帯端末や補聴器などに組み込みことが可能だ。NDP101はQFNパッケージ(5×5mmサイズ)で、シリアルフラッシュから起動することが可能。GPIO端子を8個備えるため、スマートスピーカーなどのやや大型のシステムでも、メインのSoCとして機能することができる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.