ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2019年1月21日、白物家電などでモーターの故障検知が行えるマイコンベースのソリューションを発表した。低価格のマイコン上で学習済みのモーター故障検知AIを実行し、モーターの異常を検知し、アラートの発報などが行える。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2019年1月21日、白物家電などでモーターの故障検知が行えるマイコンベースのソリューションを発表した。低価格のマイコン上で学習済みのモーター故障検知AIを実行し、モーターの異常を検知し、アラートの発報などが行える。
ルネサスは2015年から、IT機器だけでなく組み込み機器でも機械学習などのAIを活用する「組み込みAI/e-AI」というコンセプトを打ち出し、e-AIを実現する製品、技術の拡充を進めてきた。
2017年には、e-AIのコンセプトに沿ってルネサスは「Caffe」や「TensorFlow」で学習した結果(推論モデル)をマイコンに実装可能なコードに変換するツール「e-AIトランスレータ」などマイコンベースでe-AIを実現する開発環境の提供を開始。既に世界22カ国250社以上が同開発環境の利用を開始しているという。
今回、発表したマイコンによる家電向け故障検知用e-AIソリューションも、e-AI開発環境を使って、マイコンで推論モデルを実行させるもの。ハードウェアとしては、ルネサス製32ビットマイコン「RX66T」を搭載するCPUカードとモーター制御用評価キットを使用。ソフトウェア、ツールとして、RX66Tで動作するサンプルプログラム一式と、モーターの状態を示す特性データを収集、解析するためのGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)ツールを提供する。
RX66Tは、最大4つのモーターを制御できるマイコンで、故障検知もRX66Tの1チップで4つのモーターの異常検知が行えるという。例えば洗濯機では、洗濯槽を回すモーター、ポンプ用モーター、乾燥用ファンモーターの3つを制御しながら、3つのモーターすべての消費電流を常時監視し、異常を検知することが可能。「AI処理用のチップや、センサーなどを追加することなく低コスト、かつ、手軽に故障検知AIを導入できる」(ルネサス)とする。
ルネサスでは、同ソリューションを発表した1月21日に都内で記者説明会を開催し、組み込み機器領域でのAI活用を可能にする製品、ソリューションの展開を強化していく方針を改めて強調するとともに、2018年11月にドイツで開催された「electronica 2018」で公開したデモを披露した(関連記事:組み込みAIをけん引する、ルネサスの意気込み)
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