前回に引き続き、1976年の主な出来事を紹介する。この年にIntelが出荷したメモリは、4Kビット換算で1200万個を超えた。また、マイクロプロセッサ事業を強化すべく、同部門を独立させている。
Intelの公式文書である「年次報告書(アニュアルレポート)」をベースに、Intelの創業期の活動を創業年(1968年)から1年ずつ記述する連載の第17回である。前回から、創業9年目である1976年の業績や活動などを紹介している。前回は、同年の業績をご報告した。今回は1976年の主な出来事をご紹介する。
前回でもご報告したように、Intelの主力事業であるメモリ事業は1976年に急激に回復した。特に1976年前半におけるメモリ需要の伸びが目覚ましかったと、年次報告書は述べる。そして1976年後半には品不足が起きることを一部の顧客が懸念するまでに至った。
しかし、品不足は一部で発生したかもしれないが、広範囲には発生せずに済んだという。1976年前半に急増した需要には、同年後半の品不足を心配した販売代理店による過剰な発注が含まれていたからだ。同年後半になると、販売代理店からの大量発注はなくなり、発注は実需に近い水準へと落ち着いた。
この時期における半導体メモリの最大容量は16Kビットである。主力品種は16KビットDRAMと、4KビットDRAM、4KビットSRAMだ。これらの製品ファミリーを高速品や低消費電力品、低コスト品などで拡充した。
1976年の年次報告書(アニュアルレポート)では、Intelが出荷したメモリ製品の総記憶容量をビット数に換算した数値を掲載していた。期間は1972年から1976年までの5年間である。
1972年にビット数換算の総出荷記憶容量は30億ビットだった。それが4年後の1976年には、17.7倍の530億ビットにまで急増している。前年の2倍のペースで増加すると4年後に16倍なので、Intelのメモリ出荷は1年で2倍を超えるペースで増加したことになる。
そして1976年の530億ビットという総出荷容量を、仮に全て4Kビット(4096ビット)のメモリで達成したとすると、チップ数では1294万個に相当する。平均すると1カ月で100万個を超える数量の4Kビット品を出荷したことになる。
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