Ilika Technologies(以下、イリカ)は、医療用インプラント機器向けの全固体電池「Stereax(ステリアックス) M50」を開発したとして、2019年4月16日、東京都内で説明会を行った。てんかんやパーキンソン患者向けの神経刺激装置や、健康維持のために肺動脈付近に埋め込む血圧センサーなどへの利用を見込んでいる。同社の最高化学責任者のBrian Hayden氏は、「早ければ2年後には、Stereax M50を搭載した機器が市場に登場すると予想している」と話した。
Ilika Technologies(以下、イリカ)は、医療用インプラント機器向けの全固体電池「Stereax(ステリアックス) M50」を開発したとして、2019年4月16日、東京都内で説明会を行った。てんかんやパーキンソン患者向けの神経刺激装置や、健康維持のために肺動脈付近に埋め込む血圧センサーなどへの利用を見込んでいる。同社の最高化学責任者のBrian Hayden氏は、「早ければ2年後には、Stereax M50を搭載した機器が市場に登場すると予想している」と話した。
今回発表されたStereax M50は、外形寸法が10.75×3.75×0.6mmで、質量は60mg、動作温度は−20〜+100℃。正極はコバルト酸リチウム、負極はアモルファスシリコン、そして固体電解質は「正確な物質は明かせない」(Hayden氏)が、酸化物系を用いて形成されている。一般的なリチウムイオン電池のように有毒な液体を電解質として使わないため、高い生体適合性を実現している。容量は50μAhで出力電圧は3.5V、充電源は4.0V。充電時間は、80%までなら10分未満と、高速充電も可能である。また、最大出力電流は1mAであり、Hayden氏は、「医療用インプラント機器が体外にデータを送信する際など、瞬間的に大きな電流が使えることは大事な特性だ」説明した。
充放電サイクルは、100%の充放電を繰り返した場合で1000回可能。50%程度の充放電であればさらに長くなるといい、最大では5000回が可能。一般的なリチウムイオン電池に比べて約5倍となる、最大10年の長寿命を実現したという。また、低リーク電流でもあり、環境発電(エナジーハーべスティング)で生成したような微弱な電力を用いることも可能だとする。究極的な例ではあるが、「例えば心拍による振動を利用する環境発電技術と組み合わせることなども、可能だと考えている」(Hayden氏)
Hayden氏は、「医療用インプラント機器の電池の入れ替えの頻度が高い場合、患者への負担は大きくなる。患者の生活の質を高めるためにも、電池は長寿命かつ、低リーク電流である必要がある」と説明し、Stereax M50が医療用インプラント機器向けとして適していることを強調した。
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