図2は、2019年1月に発売になった中国・深センのメーカーAnica Technologyの超小型スマートフォン「K-TOUCH i9」である。このクラスのスマートフォンも中国ではいくつか販売されている。サイズは、一般的なスマートフォンのおおよそ半分。ディスプレイの大きさは3型台で、重さも100g程度である。しかしながら基本性能はほぼスマートフォンの必要要件を満たしている。セカンド機としては最適だろう。弊社では分解用と実用の2台を購入し(2台目も近日分解)、実用でも使っているが、小さくて持ちやすく、実によいサイズだ。
スマートフォンの主戦場が6型以上のディスプレイ搭載やカメラの多眼化によって、大型化する中、手のひらにすっぽり収まるサイズは、電車の中などでちょこちょこっと操作するには、実にちょうどよい。
OSはAndroid 8.1。小さいとはいえ、ひと昔前の主流であった単眼500万画素カメラを備え、Wi-FiとBluetooth、LTE通信にも対応している。
スマートフォン市場の最前線からほとんど姿を消した日本メーカーにこそ、この手のセカンド機をやってほしかった……との思いもある。
図3は、K-TOUCU i9の外観と分解の様子である。一般的なスマートフォンと同じく上下端にSIMカードスロットと外部端子が備わっている。内部は基板と電池が重なっている。写真は電池を取り外した状態だ。通信やAndroidなどの処理を行う基板は、ほぼスマートフォンサイズ。内部は金属シールドによって機能別に区分けされた4つのパートで構成されている。プロセッサ処理部、通信アンプ部、Wi-Fi/Bluetooth通信部、SIMカードだ。左側の内部配線は通信アンテナである。
作りは丁寧で(分解すれば分かる!)、細部まできちんとかみ合っているので、分解には若干手間がかかる。
そもそも分解に手間がかかるものは組み立てにも手間がかかる。ネジ数個で分解できてしまうものも多い中、スマートフォンは実際にはどれも緻密にできている。持ち歩いたり(微振動)、触れたり(タッチパネルなど)、時に落としたりといった過酷な環境で使われることへの対策が、ノウハウとなって詰め込まれているからだ。
図4は、K-TOUCH i9の金属シールドを取り外した基板の様子である。基板は、片面にだけ回路(半導体や受動素子)を搭載する片面実装だ。これによって薄くしているのである。
メインプロセッサは、台湾MediaTek製だ。プロセッサとセットで、通信用のトランシーバーと電源IC、Wi-Fi通信などのチップがキット化されている。いわゆるプラットフォームでの活用である。それを取り囲むように中国メーカーのチップが並ぶ。通信用パワーアンプ、オーディオチップ、タッチパネルコントローラー、バッテリーチャージャーなどだ。図4以外にも中国製のチップと部品は使われている。頭脳であるプロセッサは台湾、手足は中国チップという構成になっている。
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