近年、地理的に分散した複数個のデータセンターを接続するデータセンター間相互接続通信(DCI:Data Center Interconnect)が注目されている。今回は、そうした技術の幾つかを解説する。
近年、地理的に分散した複数個のデータセンターを接続するデータセンター間相互接続通信(DCI:Data Center Interconnect)が注目されている。
データセンター間相互接続(DCI)は大きく2種類ある。一つはインターネット通信を含むデータセンター資源の高効率化やコスト低減、バックアップなどを目的とした、広域通信ネットワーク(WAN:Wide Area NetworkやMAN:Metropolitan Area Network)を用いる接続。もう一つは最近話題となっている、離れたデータセンターにあるサーバ間の東西トラフィックを接続することで、さらなるスケールの拡張を狙ったハイパーデータセンター間接続である。
一つ目の広域通信ネットワークを用いたDCIにはさまざまな形式があり、時代とともに変化してきた。
初期では、バックボーンネットワーク(あるいはWAN)を利用し、データセンターを接続していた。災害時などのビジネス継続(Business Continuity)やバックアップなどが目的であった。インターネットの発展とともに、ISP(Internet Service Provider)へのサービス向上や、データセンター資源効率を高めるためにグローバルにデータセンターを開設し、それらを接続するようになっていった。
これらのDCIでは、一般的に専用線など通信オペレータによって管理されたネットワークで接続され通信容量や品質はオペレータによって保証されるが、コストとセキュリティが課題である。
「ドットコム」ブームなどによるインターネット利用の爆発的拡大に対し、スケールアップのため近接してデータセンターが次々に開設されたが、これらのデータセンターを結ぶことで、効率の向上を狙った。
具体的には、主に数百メートル〜数十キロメートル離れた場所にデータセンターを設営し、比較的短距離で低レイテンシかつ高いセキュリティのMAN(Metropolitan Area Network)を利用して、接続した。さまざまなネットワークシステムが開発され、ネットワークオペレータもこれに適したサービスを提供し始めたのである。
ハイパースケールデータセンターオーナーの出現で変化したのは、広域ネットワークを自社に構築し始めたことである。データセンターの設置によって局所的に発生する膨大な通信需要に、通信サービス会社の投資が追い付かなかったことが原因だ。
ダークファイバーやファイバーリンクのリースを利用したり、ファイバーケーブルの敷設に投資したりして、自社専用の長距離伝送網を運営するようになってきた。図2は、公表されているGoogleとMicrosoftの大陸間海底通信を含む、世界中を結ぶファイバー通信網である。
WANやMANを利用したDCIでは、長距離伝送の装置や部品が使用されている。
一般的に、データセンターのコアルーターが伝送装置に接続される。データは異なる波長の光信号に載せられ、波長多重伝送される。その伝送速度や波長、ファイバーのルートなどの管理は通信オペレータ(自社の場合も同様)が行い、エンド・ツー・エンドでの接続を保証する。最近は、デジタルコヒーレント技術を用い、1本のファイバーで、400Gビット/秒(bps)や600Gbpsの伝送速度で、20Tbpsの大容量データを数千キロメートル伝送することが可能になっている。詳細は省くが、最近のSDN/NFV(Software Defined Network/Network Function Virtualization)やDisaggregation技術が参入障壁を低くし、柔軟なネットワークが構築可能である。
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