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データセンターを支える光伝送技術 〜データセンター間を相互接続する技術光伝送技術を知る(6)(2/3 ページ)

» 2019年05月21日 12時00分 公開
[高井厚志EE Times Japan]

リージョナル・データセンター間の相互接続

 最近話題となっているのが、複数のハイパーデータセンターの東西トラフィックを接続するDCIだ。

 ハイパーデータセンターでは、80%以上のトラフィックがデータセンター内で発生しているといわれている。複数のデータセンターを接続し、一つのデータセンターとして運用するためには、東西トラフィックの接続が必要である。Microsoftではこの構成を「Regional architecture(リージョナルアーキテクチャ)」*1)と呼んでいる。本稿でも、ここで使用されるDCIをリージョナル・データセンター間接続と呼ぶ。

*1)出典1:Mark Filer, Microsoft, “Challenges and Solutions for 400G”, OFC 2018

 図3にMicrosoftのRegional architectureを示す。互いに接続され二重化されたRNG(Regional Network Gateway)に複数のデータセンターが接続されて、相互通信が可能になっている。1つの二重化RNG対で、最大16のデータセンターを結ぶことができる。データセンターとRNGの距離は100km以下だ。

図3 リージョナルアーキテクチャ*1)とリージョン内のデータセンター間接続距離分布(クリックで拡大)

 図3から分かるように、MicrosoftではRNG対象のデータセンター間は40km程度が多く、最大でも70km以下となっている。前出(光伝送技術を知る(4)図5)のMicrosoftのデータセンターの構造の図にはColo Centralの上位の接続距離について、「<10-80km」と「>100km」という記述がある。これは、RegionalとWAN/MANのDCIを意味していると考えられる。

 接続には、1本のファイバーに100Gbpsを40波長多重化した、4Tbpsのリンクが数百本引かれているという。最近は数千本の光ファイバーを収容したケーブルが敷設されるので、ペタビット(Pbps)あるいはそれに近い通信容量と考えられる。

 Regional DCIでは、複数の地域に数十キロメートル離れたデータセンターの東西トラフィックを交換する。例えば100万台の25Gbpsインタフェースのサーバの総情報容量は、25Pbps(ペタビット)である。TORを2:1のOversubscriptionとし、80%が東西トラフィックとすれば10Pbpsの情報容量となる。このうち20〜50%の情報を他のデータセンターに接続するとすれば2〜5Pbpsの情報パイプが必要となる。

 また、Reginal Architectureにおいて、スイッチネットワークはいわゆるSDN(Software Defined Network)であり管理ソフトウェアの開発が重要である。

 このように、複数のデータセンター間に高速、大容量で低レイテンシの通信網を設けて東西トラフィックを接続することは新しい技術であり、光伝送部品においても新しいマーケットを形成している。今後の発展が期待される。

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