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ソナス、IoT向け920MHz帯マルチホップ無線Smart Sensing 2019

東大発無線通信ベンチャーのソナスは、「Smart Sensing(スマートセンシング) 2019」で、サブギガ(920MHz帯)版マルチホップ無線「UNISONet(ユニゾネット)」などを紹介した。

» 2019年06月10日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

同時送信フラッディングと細粒度スケジューリングを組み合わせ

 東大発無線通信ベンチャーのソナスは、「Smart Sensing(スマートセンシング) 2019」(2019年6月5〜7日、東京ビッグサイト)で、サブギガ(920MHz帯)版のマルチホップ無線「UNISONet(ユニゾネット)」などを紹介した。

 UNISONetは、ソナスがIoT(モノのインターネット)向けに独自開発したマルチホップ型の省電力無線通信規格である。「同時送信フラッディング」と呼ばれる転送方式を採用している。「長年研究されてきたデータ伝送技術で、端末間をバケツリレーで転送していく方式」(説明員)という。

 具体的には、複数の端末がネットワークエリアに存在する場合、データを発信する端末が、全端末に対して送信(ブロードキャスト)する。このデータを受信できた複数の端末が即座に転送する。このブロードキャスト転送を繰り返し行うことで、届けたい端末までデータを送信する仕組みである。複雑なルーティングが不要で、効率的に通信を行うことが可能だという。

 UNISONetは、この同時送信フラッディング方式に、「細粒度スケジューリング」技術を組み合わせた。これによって、送信データ量や優先度に基づき、データを発信する端末を決めることができるという。この結果、UNISONetは「安定」「省電力」「高速」「双方向低遅延」「ロスレス」「時刻同期」といった特性を実現した。

 展示ブースには15個の端末を設置し、ある端末から発信されたデータが、それ以外の端末に何ステップで到達したかをLEDに表示した。これとは別に、モーターの振動を計測するシステムなどのデモ展示を行った。また、UN Classic対応のセンサーユニット単体も展示した。

左がデモ用の端末、右はセンサーユニット

 ソナスは既に、2.4GHz版UNISONet「UN Classic」を提供している。1ホップ範囲は最大500mで、時刻同期精度は10マイクロ秒である。新たに追加したのがサブギガ版UNISONet。通信速度などを重視した「UN Leap」と、通信距離を重視した「UN Metro」の2タイプを用意し、2019年6月20日より提供を始める予定だ。

 UN Classicはこれまで、橋や建築物、工場設備のモニタリング用途などで納入実績を持つ。サブギガ版を新たに加え、今後はコンサート会場でのLED制御やスマートシティーを実現するシステムなど、幅広い用途に提案していく計画である。

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