今回は、MRAMの技術開発状況と製品化動向を取り上げる。特に、最近のMRAM開発で注目されている埋め込みメモリについて解説する。
2018年8月に米国シリコンバレーで開催された、フラッシュメモリとその応用製品に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」でMKW Venture Consulting, LLCでアナリストをつとめるMark Webb氏が、「Annual Update on Emerging Memories」のタイトルで講演した半導体メモリ技術に関する分析を、シリーズでご紹介している。
なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。
前回は、磁気抵抗メモリ(MRAM)の記憶原理と長所、短所をご説明した。今回は、MRAMの技術開発状況と製品化動向を解説する。
前回で述べたように、MRAMの技術開発の主流は書き込みに「スピン注入(STT:Spin-Transfer-Torque)方式」を採用したSTT-MRAMである。単体のメモリは28nm世代、埋め込みメモリは22nm世代まで微細化が進んでいる。
MRAMの技術開発ベンチャーとして最も良く知られている企業は、米国のEverspin Technologiesである。同社はシリコンファウンドリー大手のGLOBALFOUNDRIESと共同で、単体STT-MRAMの微細化と埋め込みSTT-MRAMの開発を進めている。GLOBALFOUNDRIESは22nm技術の埋め込みSTT-MRAMマクロをマイクロコントローラー(マイコン)やSoC(System on a Chip)などに向けて提供できる状態にある。
同じくMRAM開発ベンチャーで米国のAvalanche Technologyは、シリコンファウンドリー大手のUMCと共同で埋め込みSTT-MRAMを共同開発している。
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