アールエスコンポーネンツは「Smart Sensing 2019」(2019年6月5〜7日、東京ビッグサイト)で、「Raspberry Pi(ラズパイ)」用拡張ボードとして、LoRAWANの無線通信が可能になる「LoRa/GPS HAT」などを展示した。【訂正あり】
アールエスコンポーネンツは「Smart Sensing 2019」(2019年6月5〜7日、東京ビッグサイト)で、「Raspberry Pi(ラズパイ)」用拡張ボードとして、LoRAWANの無線通信が可能になる「LoRa/GPS HAT」などを展示した。
LoRa/GPS HATは、中国Draginoの拡張基板をベースに、技適に適合した日本独自仕様のモジュール。ラズパイに搭載することで、GPSで位置情報データを取得し、LoRaで送信できるようになる。つまり、LoRaWANのゲートウェイとなる。さらに、LoRaWANのサービスを提供するプラットフォーム「The Things Network(以下、TTN)」を活用すれば、通信費を負担することなくLoRaWANを構築できるという。ラズパイとLoRa/GPS HAT、そしてTTNを使えば、わずか1万5000円ほどでLoRaWANネットワークを実現できることになる
TTNは、オランダの非営利組織The Things Networkが提供するプラットフォーム。なお、本稿ではプラットフォームを指す時は「TTN」、組織名を指す時は「The Things Network」と記載する。The Things Networkは、「LoRaWANなどのIoTネットワークをユーザーで運営する」というコンセプトの下、TTNを開発した。具体的にはネットワークを動かすサーバプログラムを開発している。TTNは無償で提供されていて、サーバで動作するプログラムも公開されている。
実はThe Things Networkは、オランダのアムステルダム市内全域をカバーするLoRaWANの構築を2015年の時点で完了しているという。アールエスコンポーネンツ INNOVATION事業部でDesign Spark(Japan)のマネジャーを務める宮原裕人氏は、「10万円超の基地局をボランティアメンバー10人が購入し、TTNを使って、アムステルダム市内をカバーするLoRaWANを作り上げた」と説明する。
【記事修正:2019年6月17日14時 掲載当初、「多くのボランティアたちが約10万台の基地局を独自に購入して設置し」と記載しておりましたが、正しくは「10万円超の基地局をボランティアメンバー10名が購入し」の誤りです。お詫びして訂正致します。】
TTNの最大の特長は課金がないこと。そして、センサーやクラウドの制約がなく、何でも接続できるという点だ。
TTNは、オランダをはじめ欧州では既に実運用されていると宮原氏は語る。例えば英国のオックスフォードでは、LoRaWANを使って洪水警報システムを構築したという。
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