2日目の6月10日(月)には、以下の三つのShort Courseが行われた。カッコ内はVLSI事務局が発表した各Short Courseの登録者数である。
以上に加えて、全てのShort Courseに登録した人が203人おり、これらを合計すると659人と過去最高を記録した。
Short Courseの出席者数は、ここ10年間で約2.4倍に増加した。この理由を次のように考えている。筆者の予想では、Short Courseの出席者には、装置メーカーや材料メーカーの技術者などが多いのではないかと思う。というのは、Technical Sessionでは、英語の論文を読み、英語の講演を聞かなければ、内容を理解することが困難である。これは、非常にハードルが高い。
一方、Short Courseでは、ホットなトピックスを一日集中して聞くことができる。その上、発表スライドの全てがPDFで配布されるため、英語の文章を読まなくても、図を見ればおおよその概要が理解できる。そのため、装置メーカーや材料メーカーにとってShort Courseは、格好の情報収集の機会となるからだ。
筆者は、CMOS Technology関係のShort Course1に参加した。そこから見えてきた技術トレンドは、半導体デバイスは3次元化し、そしてチップを複数枚重ねる3次元アーキテクチャ化が進むだろうということだ(図8)。
しかし、微細化を続けるには、相当に難しい技術開発が待ち受けている。例えば、5nmノードの微細配線幅には、原子がたったの42.5個しかない(図9)。このような微細配線を形成するには、Self-Directedな成膜、Self-Limitedなエッチング、そしてSelf-Alignedな構造を駆使する必要があるだろう(図10)。
そして、さまざまなチップを重ねる3次元アーキテクチャが当たり前のように使われると考えられる。図11は、TSMCのチップ積層技術である。複数枚のロジックチップやメモリを3次元方向に積層し、Through-Silicon Via(TSV)を開けてCuでチップ間をつないでいる。
TSMCは、“Chip on Chip”、”Chip on Wafer”および、”Wafer on Wafer”技術も開発しており、これらを”Wafer Level System Integration”、略して“WLSI”と呼称していた。なかなかしゃれたネーミングである。
微細化はスローダウンするかもしれないが、今後は、上記のようなデバイスの3次元化とチップを積層する3次元化が、ムーアの法則をけん引していくと思われる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.