IDC Japanは2019年6月20日に東京都で記者説明会を開催し、国内の5G市場予測について説明した。登壇したアナリストは、「5G(第5世代移動通信)は、すぐに現実のものにはならない。インフラの全国普及はおおむね2025年くらいになると予測している」と述べた。
「5G(第5世代移動通信)は、すぐに現実のものにはならない。インフラの全国普及はおおむね2025年くらいになると予測している」――。IDC Japanでコミュニケーションズリサーチマネージャーを務める小野陽子氏は、同社が2019年6月20日に開催した、国内の5G(第5世代移動通信)市場予測に関する説明会でこのように述べた。
小野氏は、5G市場は、1)技術の高度化、市場の成熟、低廉化、2)エコシステムにおける協創、ユースケース開発の増加、3)既存の接続技術からの5G移行という3つの相互作用によって拡大していくと述べる。ただ、ロボットや建機の遠隔操作や、テレイグジスタンス(遠隔存在)など、5Gならではのユースケースが本格的に開発されるのは2024年、2025年以降になるとIDC Japanはみており、「自動運転など、技術以外の整備(法律など)が必要なユースケースも多い。そのため、5Gの導入は長丁場になるだろう」と小野氏は説明する。「5G市場は、技術が出そろい、ソリューションの提供体制が整うまでの初期フェーズではやや緩やかで、その後加速していくだろう。5Gを使いつつ、ユースケースを高度化していくという流れになるとみている」(同氏)
5Gのインフラについては、通信事業者の5G向けインフラ投資は、2021年ごろから加速し、5Gがおおむね全国で使えるようになるのは2025年ごろだとする。
Wi-Fiや固定通信サービスなど、他の接続技術とは、競争だけでなく補完関係になると小野氏は述べる。「5Gが席巻するというイメージを持っている人も多いが、そうではない。5Gは、当面は現行の4Gとハイブリッドで提供されるし、デジタルトランスフォーメーション(DX)では、複数の通信技術の組み合わせによる提供が進むだろう。優れた通信技術は他にもあるので、5Gとそれらの技術は、競争および補完関係で発展していくとみるのが妥当だ」(小野氏)
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