今回は、Armベースのプロセッサを搭載したノートブック型PC「Yoga C630」を取り上げる。Yoga C630の主要チップは、驚くことにスマートフォンとほぼ同じだった――。
2019年4月、中国のLenovoがノートブック型PC「Yoga C630」を発売した。Yoga C630は従来のPCとは決定的に異なる特長がある。内部プロセッサが、PCでは定番のIntelやAMDのX86アーキテクチャベースのプロセッサではなく、ArmベースのプロセッサであるQualcommの「Snapdragon 850」が採用されている点だ。外観は通常のノートブック型PCとほぼ同じ。キーボード、タッチパッド、ディスプレイがあり、本体サイドに端子を備えている。内部が異なるアーキテクチャのプロセッサだと言われなければ、外観だけでは他のPCとなんら変わらない。
図1左はYoga C630の梱包箱、本体を開いた状態である。見た目は普通のノートブック型PCである。図1右は本体下部のカバーを取り外した状態と、コンピュータ基板を取り出した様子である。基板はほぼ本体幅と同じでバー形状(横長)になっている。
本体内部は上から、コンピュータ基板、電池、タッチパッド、スピーカーとなっている。右上写真の内部を走る配線はWi-FiやLTE用のアンテナ配線だ。タッチパッドの両脇にはアンテナが設置されている。内部の構造はおおむねIntelのプロセッサを使うノートブック型PCと同じである。ただし空冷ファンなどの冷却装置は備わっていない。代わりにコンピュータ基板の上には、ヒートパイプが乗っている(注:図1の写真はヒートパイプを取り除いた後のもの)。基板の熱をヒートパイプで逃がすという構造は、スマートフォンではよく見掛ける構造である。例えば2019年発売モデルではSamsung Electronicsの「Galaxy S10」やHUAWEIの「P30 Pro」といったスマートフォンがヒートパイプを用いている。
表1上段は、Lenovo Yoga C630の基板に搭載された主要チップの一部である。Qualcommのチップセットがさまざまな機能部で使われている。通信用のトランシーバー(一部パワーアンプも含む)、プロセッサの電源を最適化するための電源IC、オーディオコーデックやオーディオ用パワーアンプ。表1には掲載しなかったがYoga C630ではさらにQualcommのWi-Fi/Bluetoothチップも活用されている。
表1の下段は2018年発売の製品ではあるが、ソニー製スマートフォン「XPERIA XZ2 Premium」に搭載されているチップセットの様子である。XPERIA XZ2 PremiumはQualcommの「Snapdragon 845」をプロセッサに用いる製品である。表1の上段のYoga C630の搭載チップと見比べると、オーディオコーデックのみ型名が少し異なる(ただし、内部はほぼ同じものだ)が、同じチップセットが使われている! スマートフォン(Android)とノードブック型PC(Windows 10)はほぼ同じチップセットで構成されているわけだ。
表1にはプロセッサは掲載していないが、プロセッサ以外はほぼ同じであることが判明した。
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