Techpointは現在、CMOSイメージセンサー(CIS)を開発中だ。2020年第1〜第2四半期にサンプル出荷を、同年第4四半期に量産を開始することを目指す。CMOSイメージセンサーまで手掛ければ、監視カメラ/車載カメラシステムの主要部品を一気通貫で提供できるようになる。これが狙いだ。「そうすれば、カメラのレファレンスデザインを設計できるようになる」と蓬田氏は強調する。
「カメラメーカーは中国だけでも数百社に上るが、どこも苦労しているのがイメージセンサーの最適化だ。イメージセンサーのメーカーが異なると、ソフトウェアなどの最適化に非常に時間がかかる。Techpointが、CMOSイメージセンサーとISP、Txまでを1モジュール化できれば、その最適化の手間を省けることになる。カメラメーカーから、『CMOSイメージセンサーまで統合して提供してほしい』と要求されている」(蓬田氏)
Techpointは現在、CMOSイメージセンサーをサプライヤーから調達し、ISP、Txと組み合わせて提供しているが、やはりCMOSイメージセンサーにISPを最適化することに最も時間がかかるという。
CMOSイメージセンサーまで組み合わせる狙いは、もう一つある。
TechpointのRxとTxの売り上げは、Rxの方が圧倒的に多いという。信号を送る側のTxは比較的容易に設計できるのに対し、受け取る側のRxは、ケーブルの長さや電磁ノイズなど、環境によって品質がかなり異なる信号を受け取るため、設計が難しいからだ。「Rxに適用している当社独自のエコライザー技術が高く評価され、Rxでは高いシェアを持っている」(蓬田氏)。その一方で、レッドオーシャン化しているTxの市場では苦戦を強いられているという。
そこでTechpointは、差異化しにくいTxをISPと統合し、1チップ化した製品「ISP+Tx」を提供することで、付加価値を高めてきた。だが他社も、そうした統合を始めているという。Tx側をさらに差別化するために、CMOSイメージセンサーまで組み合わせてしまおうというわけだ。「ここまで組み合わせているメーカーは、今のところない」と蓬田氏は述べる。
CMOSイメージセンサーの開発完了後は、まずはCMOSイメージセンサーと、ISP+Txは別個に提供し、いずれはCMOSイメージセンサーとISP+Txを搭載したモジュール基板のような形で供給することを考えているという。ちなみに、CMOSイメージセンサーの開発は日本で行っている。
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