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PCIeの進化が支える次世代インターコネクト技術CXL対CCIXという競争の構図も(2/2 ページ)

» 2019年07月25日 11時30分 公開
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CCIX、CXLという2大勢力

 新しい世代のPCIeが発表されるタイミングは、特に「Cache Coherent Interface for Accelerators(CCIX)」と「Compute Express Link(CXL)」という2つの競合するアクセラレーター接続規格に対して、直接的な影響を及ぼすことになる。このCCIXとCXLは、CPUとアクセラレータでメモリを共有することができる。

「CXL」のロゴ

 PCIe 4.0の拡張版であるCCIXは、Xilinxが支持している他、現在は多くのベンダーもCCIXグループに加わっている。Intelは2019年初め、CCIXに競合する仕様として、PCIe 5.0の物理/電気インタフェースを使用するCXLを発表した。

「CCIX」のロゴ

 CCIXは既にXilinxとHuaweiの製品に実装されており、CCIX Consortiumには50社以上のメンバーがいることから、初めにリードを奪ったのはCCIXだと言える。一方でIntelは、多数のシステム関連企業(その多くはIntelの顧客)をCXLに参画させている。CXLを採用した製品の出荷は2021年以降になるとみられているが、CXLは、CCIXにとって侮れない存在だ。多くの点でCXLはCCIXの“サブセット”であるが、Intelの存在は大きいだろう。

 CCIXは、プロセッサ/アクセラレーターに向けてキャッシュコヒーレントなインターコネクトを実現することを目標としている。CCIXのもう一つの主な利点として、同仕様が既存のPCIeインフラを活用していることがある。

 一方、CXLには今後、PCIeデータリンク層(DLL)を動的にバイパスする機能が必要になるだろう。そうした変更には、重要なコンプライアンステストが新たに必要となる。現時点では、PCIeコントローラー向けのIP(Intellectual Property)を提供している企業は、CXLをサポートするために必要な変更を検証することしかできない。

 Intelは、CPU中心のCXLを推し進めているが、同規格は完全にIntelの内部で開発されたものだ。Intelとそのパートナーが注目している重要な特長として、低いメモリレイテンシがある。

 CXLは、CPU側のPCIe DLLを置き換え、PCIeドライバーをバイパスすることで、低いメモリレイテンシを実現している。PCIeロジックは、PCIe DLLとCXL制御ロジックを交換できるようにしなくてはならない。このアプローチだと数ナノ秒短縮できるが、柔軟性が犠牲になってしまう。

 Arm、Huawei、Mellanoxなど、CCIXとCXLの両方に参画しているチップメーカーやシステムサプライヤーもある。AMD、Ampere、Marvell Technology Groupなどは、まだどちらにするか方向性を決めていないようだ。

 いずれにしても、CCIXやCXLを含めたインターコネクトは、PCIe技術の進化に大きく依存しているのは間違いない。少なくとも今後数年間は、PCIeの進化が停滞することはなさそうだ。

【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】

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