具体的には、屋内外に設置する多数のカメラやIoTセンサーから、温度や湿度、二酸化炭素濃度などの環境情報や、人の流れや混雑情報などをリアルタイムで収集。データの分析によってトイレやフリースペース、飲食店の混雑情報などを、スマートフォンのアプリケーションやサイネージなどで訪問者に提供するほか、警備員の効果的な配置や設備点検の効率化などにも役立てる。
また、カメラの映像解析で不審者や異常な行動を検知し、自動で付近の警備員に通知することもできるほか、顔認証によって、社員はICカードなどをゲートにかざすことなく入退館可能になるという。
こうした、データのリアルタイム処理は、ソフトバンクが7月17日に資本、業務提携を発表した米VANTIQのアプリケーション開発プラットフォームを活用する。
イベントが発生すると、それをリアルタイムに処理し、アクションを起こす「イベントドリブン型アプリケーション」と、ソフトバンクのIoTプラットフォームとの連携によって、カメラやセンサーからの膨大なデータを即時に分析し、ユーザーは必要な情報を自動で受信することが可能となるという。
2019年7月にソフトバンクが開催した「SoftBank World 2019」では実際に、スマートシティーに導入予定のさまざまなテクノロジーの展示が行われていた。
「スマートロビー」のデモでは、VANTIQのアプリケーション開発プラットフォームを活用し、ビルのロビーに設置されたカメラの画像を分析することで、人物の位置をリアルタイムでマッピング。同時に、その人物が、従業員、登録済来客、新規来客、警備員、不審者のいずれかに、自動で振り分けられる様子が紹介された。
これは、カメラ上のエッジAIで、人物の顔のみを識別し、データベースに登録されたデータと組み合わせて処理することで実現している。人物の位置情報も、カメラの情報から自動で判断している。VANTIQ説明担当者は、「リアルタイムのデータと緩やかに変わり続ける情報をつなぐことができるテクノロジーであり、群衆の画像から、男女や家族層などの性質の分析もできる」と話していた。
また、交通機関の遅延情報や、モビリティサービスの車両の現在位置がデジタルサイネージやスマートフォンのアプリでリアルタイムに確認できるデモも展示されていた。
説明担当者は、「例えば、女性向けのイベントが終わった直後に、カフェでお得なクーポンを表示するなど、状況に適した表示が自動でできる。また、AIによって混雑が何時間後に解決するかといった情報も提供ができ、利用者は、効率的な行動ができる」と話していた。
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