NSNのソフトウェア事業部シニアソリューションコンサルタント、柳橋達也氏は、日本での5G展開で抑えるべきトレンドやユースケースなどについて解説した。
5Gの特長としては、超高速大容量(eMBB:enhanced Mobile Broadband)、超高信頼低遅延(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)、多数端末接続(mMTC:Massive Machine Type Communications)の3つが代表例として挙げられる。
柳橋氏は、現在、既存のLTEネットワークを利用するNSA構成で、eMBBに焦点を当てたスマートフォン向けサービスを中心に展開されているが、2019年末まで計画されているRelease 16によってURLLCが仕様化された後、産業向けサービスが増加。さらにRelease 17によって、mMTCを含めた「完全な5Gとなる」と今後の展開の見込みを説明した。また、利用シーンが増えるに従って、エッジクラウドやオートメーション、スライシングなどその実現のための要素技術が発展していくとした。
そして、GDPにおける製造業割合が高い日本における5G展開で特に注目すべき領域として、「産業自動化とロボティクス」を挙げた。インダストリアルIoT(IIoT)によって生産性を向上させるとともに、よりパーソナル化された要求にも対応する高い柔軟性を実現することができると期待されており、そのためにはITとOT技術の融合が重要な要素だと説明した。
また、企業向けの5G利活用として注目されるローカル5Gについても解説。企業が完全自営網を敷く場合、ローカル5G周波数は企業が所有するもののエンドツーエンド5G運用はマネジメントサービスを利用する場合、そして、携帯事業者のネットワークを利用する場合の3つのパターンがあるとした。
ローカル5G向けの周波数帯については、28.2G〜28.3GHzの周波数帯が2019年末までに制度化が完了する予定だが、柳橋氏は、「SAがすぐに提供できることはないと思うので、ローカル5GはまずNSAのアーキテクチャで出てくるとみている」とした。そのアンカーバンドとして地域BWAの利用が議論されているが、「ローカル5G自体が日本やドイツが先行しているもので、サポートする端末の種類が少ないなどの課題が残っている」と説明した。
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