今回から、ロードマップの「モビリティー」のうち「電動化」について紹介していく。まずはハイブリッド自動車と電気自動車、燃料電池自動車の違いと、電動化した自動車の構成要素を取り上げよう。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第12回である。前々回と前回は、ロードマップ本体の第2章第4節に当たる「モビリティー」から、「2.4.3 コネクティッド化」の概要をご説明した。今回からは、次の項目である「2.4.4 電動化」の概要をご紹介していく。
ロードマップ本体では、自動車、鉄道車両、航空機の電動化を扱った。さらに電動化のキーデバイスである、SiC(シリコンカーバイド)のパワーデバイスがもたらすメリットを解説している。
自動車の電動化といっても、その手法はいくつか存在する。既存の内燃機関を残すか、残さないか。動力源である電池をどのように構築するか。大別すると、4種類の電動自動車が存在する。
最初に普及したのは、「ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electrified Vehicle)」である。ガソリンあるいはディーゼルの内燃機関(エンジン)によって発電機(ジェネレーター)を動かして二次電池を充電する。二次電池によって電動機(モーター)を動かして自動車を駆動する。実際には、内燃機関による駆動を併用するタイプが多い。
ハイブリッド自動車(HEV)は通常、外部の電源による充電機構を備えていない。これに対して外部電源によって自動車の二次電池を充電する機構を備えたハイブリッド自動車が、「プラグインハイブリッド自動車(PHV/PHEV:Plug in Hybrid Vehicle/Plug in Hybrid Electrified Vehicle)」である。
電気自動車には、二次電池を動力源とする「二次電池式電気自動車(BEV:Battery Electrified Vehicle)」と、燃料電池を動力源とする「燃料電池式電気自動車(FCV/FCEV:Fuel Cell Vehicle/Fuel Cell Electriied Vehicle)」がある。単に「電気自動車」と呼ぶときは、二次電池式電気自動車を指すことが多い。
BEVは外部電源によって二次電池を充電し、二次電池によってモーターを回転させて自動車を駆動する。FCVは、高圧の水素タンクを燃料とする燃料電池セルが発電し、二次電池を充電する。二次電池によってモーターを回転させて自動車を駆動する。
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