今回も、「モビリティー」から、「2.4.4 電動化」の概要を紹介する。今回は鉄道車両と航空機の電動化に関する部分の概要を取り上げる。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第13回である。前回より、ロードマップ本体の第2章第4節に当たる「モビリティー」から、「2.4.4 電動化」の概要をご紹介している。前回は自動車の電動化を解説した。今回は鉄道車両と航空機の電動化に関する部分の概要をご説明する。
鉄道車両は、電力やディーゼルなどを動力源とする。実装技術ロードマップでは、電気を動力源とする鉄道車両、いわゆる「電車」を扱っている。
電車は電動機(モーター)によって車輪を回転させて走行する。このモーター(主電動機)を駆動するのが、「推進制御装置」「主制御装置」「主回路装置」などと呼ばれるシステムである。現在は、交流モーターの主電動機を、電圧と周波数を動的に変化させる(VVVF:Variable Voltage Variable Frequency)インバーターで制御する方式の推進制御装置が主流となっている。
実装技術ロードマップでは、VVVFインバーターのスイッチング素子の進化による損失の低減について説明している。スイッチング素子(パワーデバイス)の進化については次回以降で説明したい。
電車にはもう1つ、車内の照明ユニットや冷暖房ユニット、表示ユニットなどに電力を供給する「補助電源装置」がある。補助電源装置はパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)インバーターやDC-DCコンバーターなどで構成される。
なお鉄道車両における最近の技術動向に、蓄電池(二次電池)の搭載がある。残念なことに、今回のロードマップではこの点にふれていないようだ。
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