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シェア2位に躍り出たSTの汎用マイコン事業戦略12年間で3%未満から20%超に(2/3 ページ)

» 2019年09月27日 09時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

4つのニーズに対応する投資

 持続的成長を引っ張るインダストリアル市場についてColonna氏は「『演算性能の強化』『より高度なAIの実現』『多様な接続技術への対応』『セキュリティの強化』という4点がマイコンに要求されている。今後は、この4つのニーズに応えるための投資が軸になる」とする。

インダストリアル市場で求められているという4つのニーズ (クリックで拡大) 出典:STマイクロエレクトロニクス

 演算性能の強化については、最新の高性能Armコア搭載品を投入するだけでなく、デュアルコアアーキテクチャを積極採用していく。STM32ファミリ初のMPU製品として2019年に発表した「STM32 MP1」では、最大動作周波数650MHzのArm Cortex-A7を2個搭載するとともに、Arm Cortex-M4も搭載。Cortex-A7でLinuxを、Cortex-M4でリアルタイムOS(RTOS)を実行するというヘテロジニアスOS構成を実現する。STM32 MP1では、最大動作周波数800MHz品の開発も進め、高性能化開発を継続する。

 MCUについても、デュアルコア化を推進。「STM32 H7」は、最大動作周波数480MHzのArm Cortex-M7と、同240MHzのCortex-M4を搭載し、「世界最高性能の汎用マイコン」をうたっている。

右=高性能化ニーズに応えるため、デュアルコア搭載製品を拡充している / 左=今後の「STM32ファミリ」の製品イメージ(クリックで拡大) 出典:STマイクロエレクトロニクス

 AI対応については、既に学習済みのニューラルネットワークをSTM32に実装するため、コード生成ツール「STM32Cube MX」でAI機能拡張パッケージを提供している他、サンプルソフトウェアなども提供し、STM32でのAI活用をサポートしていく。さらに、画像認識や自然言語認識に対応するようなより高度なAIを実行するためのAIアクセラレーターを開発中で、順次、STM32ファミリに搭載していく方針。

さまざまなレベルのAIに対応する方針で、将来的にはAIアクセラレーターを「STM32ファミリ」に搭載し、高度なAI処理を実現する方針

 多様な接続技術への対応では、BluetoothやThreadといった短距離無線通信や、LPWANといった通信機能を備えたSTM32 WBを展開。セルラー通信やWi-Fiについても「モジュールベンダーなどパートナーと連携し、幅広いIoT通信規格に対応する体制を整えており、継続して強化していく」(Colonna氏)とする。

 「次第に要件が厳しくなってきている」とするセキュリティへの対応については、ハードウェアレベルからソフトウェアレベルに至るまでの包括的なセキュリティ技術を提供する「STM32Trust」の提供を開始している。

左=「STM32ファミリ」の無線ソリューション / 右=「STM32ファミリ」で実現するIoT向けセキュリティ (クリックで拡大) 出典:STマイクロエレクトロニクス

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