持続的成長を引っ張るインダストリアル市場についてColonna氏は「『演算性能の強化』『より高度なAIの実現』『多様な接続技術への対応』『セキュリティの強化』という4点がマイコンに要求されている。今後は、この4つのニーズに応えるための投資が軸になる」とする。
演算性能の強化については、最新の高性能Armコア搭載品を投入するだけでなく、デュアルコアアーキテクチャを積極採用していく。STM32ファミリ初のMPU製品として2019年に発表した「STM32 MP1」では、最大動作周波数650MHzのArm Cortex-A7を2個搭載するとともに、Arm Cortex-M4も搭載。Cortex-A7でLinuxを、Cortex-M4でリアルタイムOS(RTOS)を実行するというヘテロジニアスOS構成を実現する。STM32 MP1では、最大動作周波数800MHz品の開発も進め、高性能化開発を継続する。
MCUについても、デュアルコア化を推進。「STM32 H7」は、最大動作周波数480MHzのArm Cortex-M7と、同240MHzのCortex-M4を搭載し、「世界最高性能の汎用マイコン」をうたっている。
AI対応については、既に学習済みのニューラルネットワークをSTM32に実装するため、コード生成ツール「STM32Cube MX」でAI機能拡張パッケージを提供している他、サンプルソフトウェアなども提供し、STM32でのAI活用をサポートしていく。さらに、画像認識や自然言語認識に対応するようなより高度なAIを実行するためのAIアクセラレーターを開発中で、順次、STM32ファミリに搭載していく方針。
多様な接続技術への対応では、BluetoothやThreadといった短距離無線通信や、LPWANといった通信機能を備えたSTM32 WBを展開。セルラー通信やWi-Fiについても「モジュールベンダーなどパートナーと連携し、幅広いIoT通信規格に対応する体制を整えており、継続して強化していく」(Colonna氏)とする。
「次第に要件が厳しくなってきている」とするセキュリティへの対応については、ハードウェアレベルからソフトウェアレベルに至るまでの包括的なセキュリティ技術を提供する「STM32Trust」の提供を開始している。
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