STMicroelectronics(以下、STM)は2019年9月、東京都内で車載向けマイコンを除いたマイコン事業(=汎用マイコン事業)に関する記者説明会を開催し、2007年から展開するArmコアベースの汎用マイコン製品ファミリ「STM32」で右肩上がりに市場シェアを獲得してきたことを強調。同時に、さらなる事業成長を目指した投資を継続するとの方針を説明した。
2007年当時3%未満だったシェアは、20%を超えた――。
STMicroelectronics(以下、ST)は2019年9月、東京都内で車載向けマイコンを除いたマイコン事業(=汎用マイコン事業)に関する記者説明会を開催し、2007年から展開するArmコアベースの汎用マイコン製品ファミリ「STM32」で右肩上がりに市場シェアを獲得してきたことを強調。同時に、さらなる事業成長を目指した投資を継続するとの方針を説明した。
STは、2007年にそれまでの独自CPUコアを用いた製品に代わって、Armが提供するCPUコアIP「Arm Cortex-Mシリーズ」を搭載した汎用マイコン製品「STM32」を発売。「世界で初めてArm Cortex-Mを搭載した」(ST)とするこのSTM32とともに、STの汎用マイコン事業は大きな躍進を遂げてきた。
STでマイクロコントローラ&デジタルICグループマイクロコントローラ製品事業部グローバル・マーケティング・ディレクターを務めるDaniel Colonna氏は、「STM32を発売した12年前の2007年当時の(汎用マイコン世界市場における)シェアは3%未満だったが、2018年には20%を超えた。その間、シェアランキングも一貫して順位を上げ続け、2018年には2位になった。シェアを争う競合他社は、事業の買収、統合により成長を実現している中で、STはそうした買収、統合を行わずに実現した」と語る。
順調にシェアを伸ばし続けてきた要因としてColonna氏は、「発売当初から少量生産用途も含めた“マスマーケット”をターゲットにしたこと」「毎年、新シリーズを投入するなどし、広範な製品ラインアップをそろえたこと」「サードパーティを含めて、開発をサポートする充実したエコシステムを構築したこと」の3点を挙げる。
STM32が登場した2007年当時は、汎用マイコンにとって最も大きなビジネス規模が見込めた用途は民生機器用途だったが、STは民生機器向けだけに集中せず、量産規模が比較的小さい産業機器向けなどインダストリアル分野に主眼を置いて製品開発を行ってきたという。その後、民生機器市場自体の成長鈍化を尻目に、インダストリアル市場でのマイコン需要の拡大を追い風に、マスマーケットに向けた製品ラインアップ、開発サポート体制を武器にシェアを高めてきたわけだ。
インダストリアル向けを中心としたマスマーケットをターゲットに事業成長を図るという基本方針についてColonna氏は「今後も変えない」と断言。その上で「(2018年に到達した)シェア20%は、とても大きなシェアであり、これ以上のシェアアップは従来のように簡単にはいかない。シェアを30%に高めるというようなことは全く現実的ではないだろう。ただ、全く個人的な見解ではあるが、あと5%であればシェアを高められる余地はあると思う」とし、これまでの事業方針を貫きつつ持続的な成長を維持する考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.