今回は、ロードマップ第2章第5節の最初の項目である「サーマルマネジメント」から、「パワーモジュールにおける放熱技術と材料の動向」の概要を解説していく。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第16回である。
前回から、ロードマップ本体の第2章第5節に当たる「新技術・新材料・新市場」の概要を紹介している。「新技術・新材料・新市場」では、「サーマルマネジメント(熱管理)」と「マイクロLED」、それから「5G携帯電話システム」の3つのテーマを扱う。
最初のテーマである「サーマルマネジメント(熱管理)」はさらに、「サーマルマネジメント技術」と「パワーモジュールの放熱」、「携帯機器の放熱」の3つのパートに分かれている。前回は最初のパートである、「サーマルマネジメント技術」、具体的には自動車用電子製品の放熱技術をご説明した。今回は2番目のパートである、「パワーモジュールにおける放熱技術と材料の動向」の概要を解説していく。
始めはパワーモジュールの部材に求められる特性である。パワーモジュールは高い電圧と大きな電流を扱う。従って絶縁材料には高電界に耐えられる絶縁性が、導電材料には大電流でも低い抵抗を維持する導電性が求められる。
またどちらの材料にも、高い放熱性が要求される。絶縁材料は一般的に熱伝導率が低く、放熱性があまり良くない。熱伝導率を高めた絶縁材料が必要とされる。金属に代表される導電材料は一般的に放熱性が高い。それでも扱う電流が大きいと、抵抗損による発熱が問題となることがある。
それから、動作時の発熱による高温状態と待機時の低温状態を繰り返す熱サイクル(温度サイクル)によるストレスに耐えられなければならない。
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