リコー電子デバイスと新日本無線は、「オートモーティブ ワールド2020」に共同出展し、自動車分野向け機能安全規格に対応したCMOSイメージセンサー用複合電源ICや、入力端子に加え電源端子のEMI耐性を強化したオペアンプなどを紹介した。
日清紡グループのリコー電子デバイスと新日本無線は、「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)に共同出展し、自動車分野向け機能安全規格に対応したCMOSイメージセンサー用複合電源ICや、入力端子に加え電源端子のEMI耐性を強化したオペアンプなど、開発品を中心にデモを交えて紹介した。
ブースでは、「ネットワーク化」や「走行安全」「電動化」をテーマにしたコーナーで、車載システム向けの電源ICやオペアンプ、マイクロ波センサーなどをそれぞれ紹介した。
この中で注目製品の1つは、リコー電子デバイスが開発中の複合電源IC「RN5T5611」シリーズである。近年は自動運転対応に向けて、車載カメラに搭載されるCMOSイメージセンサーは高解像度品へと向かっている。このため、CMOSイメージセンサーを駆動するための電源ICも、ノイズが小さく安定した出力電圧が求められている。
RN5T5611シリーズは、低ノイズで高いPSRR(電源電圧変動除去比)特性を持つLDOを1チャンネルとDC-DCコンバーターを2チャンネルの他、ボルテージディテクタ(リセットIC)4チャンネルなどを集積している。このため、CMOSイメージセンサーの駆動に必要な3種類の電源を1チップで供給することができる。電源投入のタイミングも任意に設定することが可能である。
ブースでは、ソニー製のCMOSイメージセンサーと評価用ボードを用い、RN5T5611と従来のLDOを用いた場合の画像品質を比較するデモを行った。デモは夜間の自動運転を想定し、暗いボックス内にカメラを配置し撮影した。そして、評価ボードからの入力電圧に疑似的なノイズを与え、それぞれのカメラ画像をリアルタイムにモニターへ表示した。従来品のLDOを用いた画像にはノイズの影響が表れたが、ノイズ除去率に優れたRN5T5611を用いた画像ではその影響を確認することができなかった。
RN5T5611シリーズは、電源としての基本性能に優れているだけでなく、自動車分野向け機能安全規格「ISO26262」で定義された安全性要求レベルの「ASIL-D」に対応している。セーフティマニュアルなども用意しており、機能安全適合に関連する工数やコストの削減を支援していく。RN5T5611シリーズの商用サンプル出荷は2021年を予定している。
もう1つは、新日本無線が開発中のEMI(電磁妨害)耐性を高めたオペアンプ「NJM2904B」である。オペアンプは、センサーなどで収集した微小な信号の増幅や波形整形に用いられる。一般的に入力端子ではEMI耐性を強化してきたが、電源端子については十分に対応していないこともあり、誤動作を引き起こすケースもあったという。
NJM2904Bは、電源端子のEMI耐性を高めるとともに、入力端子についてもノイズ除去回路を見直し、EMI耐性を強化した。しかも同社は、半導体のEMI評価方法である「IEC 62132-4」に準拠したベンチマークを実施している。このベンチマークデータに基づいて、競合他社のオペアンプと比較したところ、NJM2904BはEMIに対する高いロバスト性を確保していることが分かった。
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