これまでのところ、コロナウイルスがビジネスに与える影響を予測しているハイテク企業はほとんどない。だが、過去の災害(医学的災害と自然災害の両方)のデータに基づいて予測を行うことは可能だ。最初の影響の一つは、ウォール街で見られた。
2020年1月27日の主要半導体株はMarvell(MRVL −4.3%)、ON Semiconductor(ON −4.2%)、Skyworks Solutions(SWKS −4%)、Applied Materials(AMAT −4.1%)、Broadcom(AVGO −3.9%)、Xilinx(XLNX −3.8%)と軒並み下落したが、そのほとんどは、Appleなどの機器メーカーの好調な決算発表を受けて反発している。
この日のフィラデルフィア半導体株指数は、コロナウイルスに対する懸念から3.1%下落した。一方、ハイテクセクターは1.7%の下落にとどまった。ただし、Appleは製造のほとんどを中国で行っていることと、中国は同社の主要市場であることから、より広範囲に急落し、27日に3%近く下落した。
今回の中国の危機がエレクトロニクス業界全体に波及するであろうことは、疑いの余地がない。中国は世界最大のエレクトロニクス製品消費国の一つであると同時に、世界最大の生産国の一つでもある。サプライチェーンのコンサルティング会社であるRiverwood SolutionsでEMS(電子機器受託製造サービス)コンサルタントを務めるRon Keith氏がEE Timesの姉妹媒体であるEPSNewsに語ったように、「法令で定められた春節の期間は1週間だが、ほとんどの工場で合計約2週間、生産が止まる」。休業が延長されれば、その分の生産が止まることになる。
Keith氏はまた、「これらの工場の多くでは、操業が再開されても従業員が全員戻ってくるとは限らない。従業員は、アウトブレイクが治まるまで自宅待機することを選ぶだろう。休暇中に配送された材料は、工場が再開する前に検査する必要がある。中国税関が休暇スケジュールに従うとしても、検査すべき材料が大量に発生することになる」と述べている。
同氏は、「休暇後に大幅な遅延があるだけでなく、この期間中は材料が入ってこない可能性も高い」と付け加えた。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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