市場調査会社であるIHS Markitは2020年1月30〜31日、東京都内で「第38回 ディスプレイ産業フォーラム 2020」を開催した。本稿では、同フォーラムの講演を基に、FPD(フラットパネルディスプレイ)業界の動向を、アジアのメーカーに焦点を当ててまとめる。
この記事は、2020年2月14日発行の「EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版2月号」に掲載している記事を転載したものです。
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2019年のエレクトロニクス業界は、米中貿易摩擦、日韓貿易摩擦など、政治的な要素に翻弄された1年となった。ディスプレイ分野も例外ではない。
市場調査会社であるIHS Markit(テクノロジー系の大部分をInfoma Techが買収し、現在移管中である)は2020年1月30〜31日、東京都内で「第38回 ディスプレイ産業フォーラム 2020」を開催した。本稿では、同フォーラムの講演を基に、FPD(フラットパネルディスプレイ)業界の動向を、アジアのメーカーに焦点を当ててまとめる。
最初に登壇したディスプレイ部門 シニアディレクターのDavid Hsieh氏は、中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスの影響について見解を述べた。
中国では、感染の拡大を防ぐべく政府が春節休暇の延長を発表しており、地域によっては2月中旬まで延長が確定しているところもある。Hsieh氏は「われわれの調査では、武漢だけでなく、中国全体での工場の稼働率を2月に下方修正することが明らかになっている。下方修正は、10〜15%減くらいが平均だとみられるが、場合によっては20〜30%下方修正するところもありそうだ」と語った。
さらに問題になってくるのがモジュールの組み立てだ。「モジュールの組み立ては、まだ手作業でしている工場も多い。だが、春節休暇が終わっても作業員が戻って組み立て作業を再開できるという保証はない」(Hsieh氏)
ディスプレイ産業フォーラム 2020の1日目(2020年1月30日)には、日本、中国、台湾、韓国のアナリストたちが合計11の講演を行った。その中から、下記の7つの講演内容を基に、FPD業界の動向について主要なポイントをまとめる。
IHS Markitの調査では、FPD市場では2020年以降も右肩上がりの堅調な需要増が続くという。2020年は前年比で7%増になると予測しており、新しいアプリケーションも成長するとHsieh氏は述べる。
TV向けFPDでの注目は80型以上で、パネルメーカー各社が相当頑張っており、2020年内に生産を開始する中国メーカーも多い。「反対に縮小しているのが32型。パネルメーカー、セットメーカーにとってあまり収入を見込めないサイズになっており、ここを大幅に縮小させて、大型サイズにどんどん移行させる動きが見られる」(Hsieh氏)
中国では、2022年までに、約20の第8.5/8.6世代(以下、Gen 8.5/8.6)、第10.5世代(以下、Gen 10.5)LCD(液晶ディスプレイ)工場が量産を開始、または建設される予定だ。
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